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おぢばにおかえり
108部分:第十五話 中間テストその二

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第十五話 中間テストその二

「ここがこうで」
「そこがそうなるのよね」
 まずは現国からでした。それから古文をやって。とりあえずは国語系統からでした。一通り終わった頃にはもういい時間になっていました。
 それで寮に帰ってからも勉強で。普段から少しずつしていますけれどやっぱりテスト前ですから特に念入りにしているつもりです。つもりですけれど。
「頑張ってるわね」
 部屋で長池先輩が私に声をかけてくれました。
「有り難うございます」
「その分だとテストいけるんじゃないの?」
「どうでしょうか」
 けれどやってみないとわからないのでこれには答えることはできませんでした。
「それはまあ」
「それでも赤点は大丈夫なんじゃないの?」
 自信なさげな私にこう言ってくれました。
「大体はわかってるでしょ」
「ええ、まあ」
「だったら大丈夫よ。ああ、そうそう」
 ここで先輩はまた私に言ってきます。
「一年生だからまだまだ先だけれど進路はどうするの?」
「進路ですか」
「ええ。やっぱり天理大学受けるの?」
「そのつもりですけれど」
 家が教会ですからそのつもりです。それで大学でもおみちのことを勉強させてもらうつもりです。そうなったらまたおぢばに住まわせてもらうことになります。
「だったら英語勉強しておきなさい」
「英語ですか」
「そうよ、天理大学はまず英語」
 それを言われます。
「だから重点的に勉強しておくといいわよ」
「そうなんですか。それじゃあ」
「実はね」
 先輩はにこりと笑って私にまた言ってくれます。すっごく奇麗な笑顔で。この笑顔を見せられたら多分どんな男の子も参ってしまうと思います。
「私も天理大学受けるし」
「先輩もですか」
「ええ。やっぱり大学でも勉強したいし」
 真面目な先輩らしいお言葉だと思いました。
「どちらにしろ卒業してからもおぢばには残るつもりよ」
「じゃあずっと会えるんですね」
「東寮じゃないけれどね」
 それはわかっています。幾ら何でも高校を卒業してもこの東寮に残るなんてことは有り得ません。やっぱりここにいるのは三年が普通です。幹事の先生方も。
「だからまた色々とね」
「はい、その時また御願いします」
「それにしてもあれじゃない?」
 今度はあれと言われました。
「あれ?」
「ちっちかなり根つめてない?」
「そうでしょうか」
「頑張るのもいいけれど無理はしないでね」
「はい」
「何だかんだで留年なんて滅多にないし」
 まあそうだと思います。何だかんだで高校で留年する人は私も見たことがありません。ある格闘ゲームでいい加減に卒業しろ、って言われている短ランの人がいますけれど。

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