第五章
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「そこまでするか」
「その話を聞いたので」
「成程な、人は会わずともだな」
「話を聞けば」
「その者を知るということもある」
「そうなるかと」
「それが君達か、では板垣君」
桂は会って間もない彼に強い声で頼んだ。
「坂本君のことはな」
「拙者にですな」
「頼む、彼の名誉と動きやすい様になる為にもな」
「そうさせて頂きます、それとですが」
板垣は桂に龍馬のこと以外にも話した。
「実は拙者と同じ土佐に頼りになる者がいまして」
「誰だい、それは」
「中岡慎太郎という者ですが」
「ああ、彼か」
その名を聞いてだ、桂はすぐに応えた。
「坂本君の同志でもあるな」
「あの者は出来物ですので」
「僕もだね」
「頼りにされるといいかと」
「わかった、では中岡君も含めてな」
「共に日本の為に働いていきましょう」
板垣は微笑み桂に応えた、そうした間柄になった。
龍馬はここまで話した、そうして同志達に言った。
「とまあ、板垣さんの話はわしが聞いた話じゃが」
「それでもですか」
「そうした話でしたか」
「お互いお会いしていなくても」
「認められてはいますか」
「そうじゃ、板垣さんはのう」
彼のことを話す顔も決して悪くはない、むしろ好感が見える。
「日本の為にでかいことをする人じゃ」
「そうですか」
「そうした人なのですね」
「坂本さんが見られるには」
「ははは、会ったことも話したこともないがな」
それは一度もというのだ、龍馬本人が言う。
「そうした人じゃ」
「実際にそうした人じゃ」
ここで一人の四角い感じの顔の男が言った、髪の毛は短めだ。中岡慎太郎である。
「板垣さんはな」
「おまんはあの人と親しいからのう」
「おまんともな」
中岡は龍馬に笑って応えた。
「こうして今一緒に鍋を突いて飲む位にな」
「それで言えるか」
「そうじゃ、板垣さんもおまんもな」
「器が大きいか」
「しかも頭も切れる、だからな」
「でかいことをするか」
「わしは二人に会って親しくさせてもらっとる」
龍馬にも板垣にもだ。
「だから言える、二人共絶対にでかいことをするぞ」
「じゃあわしも頑張るか」
「そうしろ、しかしわしは二人と付き合いがあって」
ここで不思議そうに言った中岡だった。
「身分は違えど土佐の出で志も同じで認め合っていて」
「会ったことがないのはか」
「不思議じゃのう」
「そうしたこともあるということじゃな」
龍馬は中岡の言葉に笑って返した、そしてだった。
鍋の中の軍鶏肉を葱と一緒に食べて酒を飲んだ、そのうえでこれからのことに話を戻した。
坂本龍馬と板垣退助は共に土佐藩の出身で親戚同士でもあったが会ったことはなかったと言われている、しかしお互いに認め合
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