番外編4(中編) 金田一少年の事件簿:怪盗紳士の殺人
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まあ、ですからこの絵を再び怪盗紳士が奪いに来るとは到底思えないのですよ」
「…確かにこの絵をめぐる怪盗紳士の行動は不可解な点が多いと思います。ですが先週気が燃やされたことで私はこう考えたのですよ。絵を返してきたのはこの絵のモチーフとなった人物、さくらさんを探し出すためだったのではないか?ってね」
「わ、私を!?」
「な、何を言い出すんだよ羽沢さん!」
放火で気づいた?モチーフを盗む……まさか!?
「っ!羽沢さん、あんたなんてことを考えるんだ」
「おや、そこの探偵君ではなく緋勇君が気づいたか。つまりこういう事さ。怪盗紳士は絵のモチーフを盗む。だがこの「愛する我が娘の肖像」のモチーフである娘が見当たらない。だからわざと有名にして、娘が蒲生氏の元に帰ってくるように仕向けた、ってね」
「い、一体何のために?」
「そりゃあやることは一つ。「絵のモチーフ」をこの世から消し去る。さくらさんを殺すためさ!」
「「「「な!?」」」」
「さくらさんを殺すためですって!?」
「ま、大変なことにならなきゃいいですけどねえ…?」
そう言って部屋を後にする羽沢さん。誰かに命を狙われているかもしれないと指摘されたさくらさんは真っ青になってしまっている。
「何よあの人!感じ悪!!」
「確かに、人を不安にさせるだけさせといてフォローも入れないなんてね…小宮山さん、あの人はどういう?」
「あの方は緋勇様と来られる予定だった方と同じく画商をしております羽沢星次様。銀座の有名は画廊の2代目でして先代はとてもいい方でしたが息子の星次様は少々強引なやり口という噂が。目利きは確かなのですが……」
「どうしよう、あの絵が盗まれたら私…」
「だ、大丈夫よ!そんなこと絶対にないって!!…それにいざとなったら貴女の名探偵が守ってくれるわよ!」
醍醐さんのその言葉に青かった顔色がみるみる赤くなっていった…おや?さくらさんって一の事を……?
その後、羽沢さんによって冷めてしまった空気も元に戻り雑談を続けて、夜もいい時間となったところでお開きとなった。岸さんは予定外の迷い人という事で外で野宿すると言い張ったが、まあさくらさんがそんなことさせるわけもなく空き部屋に通されていた。俺も案内された自分の部屋に入り、諸々の事を済ませてからベッドに入った。
――
「んー……」
部屋に戻ってから2時間。ベッドに入ったはいいが寝つけずにいた。別れる前にみたさくらさんの顔色がちょっと悪かったのが気になったのだ。まあ、それだけではなく一に再会してまた事件らしきものが起きたことに思いをはせていたことも
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