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名探偵と料理人
番外編4(中編) 金田一少年の事件簿:怪盗紳士の殺人
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け?さっきはありがとう」

「いやあ、俺は何にも。お礼なら俺にヒントをくれた龍斗とそこの小さな探偵君に言ってあげてくださいよ!」

「ああ!確かにそうだな。ありがとなー、チビスケさん」

「お手柄ね、ポアロ」

 

そう言ってポアロをもみくちゃにする岸さん。撫で方が優しいのかふにゃふにゃになっていくポアロ。うん、和むね。

 

「でも、あの大河内って警部はあんな指示出しといて、任意同行でもなく現行犯で捕まえそうな勢いだったけどホントにあの年まで警察やっていたとは思えないね」

「?それってどういうことだ、龍斗」

 

本館に戻る時に剣持警部にちらっと聞いたらあの人員配置は大河内警部が指揮を執っていたそうで、剣持警部は口出しを出来なかったそうだ……ギャラリーとして開放されていて、多数の作品が飾ってあるラベンダー荘に玄関一人しか警官を配置していなかった時点でありえんだろうに。死角有りまくりで、実際に素人の和久田さんにまんまと盗まれたわけだしね。

そのことを皆に話した。

 

「え、うっそー!あんなお宝の山があります!!って所、私だって守り固めるのに!!」

「それは…私、芸能関係だから門外漢だけどこの杜撰さは記事に出来るわね」

「うわあ、そんな警部さんに捕まってたらボクどうなっていたか…」

「でも、金田一君はちゃんとそれを食い止めた。流石ね、金田一君。名探偵と言われたおじいちゃんの血が金田一君の中にしっかり流れているのね!」

「え?名探偵のお爺ちゃんって?」

「そうよ!はじめちゃんは正真正銘あの金田一耕助の孫なんです!」

「へえ!?それであんな見事な推理を?!」

「すごーい、だからあんなに論理立てて推理を披露できたのね!」

 

確かに、俺はこの五感で犯人を導き出すことができるがそれを他の人も納得できる論述に落とし込むが出来ない。それが出来れば俺も名探偵!…なんてな。

 

「じゃあその名探偵さんに聞きたいんだけど次に怪盗紳士が狙ってくるのはどの絵だと思う?」

「え?うーん、まだそこまでは」

「あれ?一。怪盗紳士って獲物を指定していないのか?」

「え?ああ、龍斗は知らないのか。怪盗紳士の予告状には蒲生画伯の作品をコレクションに加えたいってあってな。どの作品かは言ってきてねえんだよ」

「ふっ。そりゃああの絵に決まっているさ」

「「「「え?」」」」

 

おや、あの人は確か来客の一人で……

 

「羽沢さん!」

 

七瀬さんが耳打ちで彼が画商の羽沢星次さんだと教えてくれた。彼は部屋の入り口で佇み、さくらさんの肖像画を見上げている。

 

「「我が愛する娘の肖像」…南十字星輝く
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