暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
番外編4(前編) 金田一少年の事件簿:怪盗紳士の殺人
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剛三氏の新作「我が愛する娘の肖像」のお披露目パーティに参加している。一緒に来ていた剣持のおっさんは警備に参加するってことでここにはいない。しかしもったいないよなー、こんな豪勢な料理が食べられないなんて。お、ローストビーフ♪

 

「もぉ、一ちゃん!お肉ばっかり食べていないでちゃんと野菜も食べなきゃ!!」

「うっせえなー、美雪。うちじゃあスーパーの安売り肉くれえしか食えねえんだしこういう時位味あわせろってえの」

「バランスよく食べなきゃ帰って体に悪いのよ?」

「ふふふ、なんだか七瀬さんお母さんみたいね?」

「いっつもこうなんだぜ?さくら。やれ片付けしろー、早く起きろー、運動しろーってな」

「それは一ちゃんがだらしないからよ!…ってあら?これすごいわね!ねえねえ、一ちゃんさくらさん見てみて!」

「なんだよ、美雪…っておお!こりゃすげえな」

「これって、お庭にある彫刻やお父様が書いた絵のモチーフ?ただの野菜スティックにすごいわね……!」

 

テーブルの上に透明のグラスに無造作に入れられている色とりどりの野菜スティック。何故か飾りが施されているものと普通の二つがあるのが気になるが…

 

「な、なあ。これって……」

「え、ええ。これ私だわ」

「す、すごいわね。こんな小さなものなのにさくらさんの表情がはっきり分かる」

 

他のテーブルを見渡しても同じようなセットが五つほどあった。触ってみると瑞々しい感触が帰ってきた。これってどんだけの人数で用意したんだよ…!?

 

「と、とりあえず触っちまったし食べるか」

「わ、私は普通のでいいわ。なんかさくらさんを食べるのは」

「わ、私も」

 

なんでい、結局飾りの方を食うのはオレだけかよ。そんじゃまあ頂きマース…!?……!!………!?!?

 

「うっうっうう…」

「ど、どうしたの、一ちゃん!?」

「き、金田一君!?」

 

体を丸め、震えるオレに声をかけてくる2人。うめくオレに周りで歓談していた大人たちも異変に気付いて近づいてきた。

 

「お、おいどうした?」

「い、いやわからないです!この野菜スティックを食べてから…」

「うますぎるううううぅぅぅぅううううううう!!!!!!!」

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

「なんだこれなんだこれ!たった一本の野菜なのにこの充実感!天草で食ったあれよりうめえ!!」

「ちょ、ちょっと一ちゃん?泣いてるの?」

 

俺は知らず知らず泣いていたらしい。

 

「ったく。騒がしいガキだ。ただの野菜だろう?」

「あ、あんたも食ってみりゃあ分かるさ」

「ふん…な
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