第五十二話 -日常回-
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」
「あはは…」
俺の場合は、遭難する事より遭難者を見つける方が回数多いんだけどね。2年前なんか遊びに行った北アルプス氷壁岳と雪鬼ヶ岳山麓で女性の遭難者を担いで降りたし。片方は確か、逮捕者も出たんだっけか?
…いやいや、それより話を続けるのはいいんだけどこれだと商店街のほかのおばちゃんたちも集まってきてジョギングどころじゃなくなっちゃうな。
「おばちゃん」
「それで私はその時こう言ってやったのよ!「腕の良し悪しを素材で言い訳するじゃないわよ!」ってね!!…なぁに、龍斗ちゃん?」
「おばちゃんと話しているのは楽しいんだけどそろそろジョギングを再開しようと思うんだ。話はまた買い出しの時とかにね?」
「あっら、やだあ。すっかり引きとめちゃったわね!私も荷出しをほっぽりだしてたわ。じゃあこれもってきなさい!美味しいトマトよ」
「お、ありがとう。喉乾いた時にでも頂くね」
「じゃあ行ってらっしゃい!」
…あれ?こう振り返ってみると、新ちゃんがコナンになる前から俺って結構事件に巻き込まれている?しかも彼がいないところで?あっれー?
――
おばちゃんから離れて俺は米花市を出て、3つ隣の市に来ていた。目線を下に向けると色黒青年が公園に併設されているバスケットコートで一人でボールと戯れていた。なんというか、動きがしなやかでネコみたいだねえ。
俺はバスケットコートの周りを囲む高さ6m位のフェンスの上に座って彼のパフォーマンスを見ながら昼ごはんのおにぎりと、トマトを食べていた。何故フェンスの上にいるかというと……ここから見える景色がお気に入りの1つだったから。
「ふう、ご馳走様」
色黒青年は俺に気付くことなく黙々とバスケを続けている。俺はおにぎりを包んでいたラップをしまい、引き続き彼のプレイを見ながら俺はつい最近存在を確認した彼の事に思いをはせた。
赤井秀一。元黒の組織の構成員でFBI所属の切れ者。「名探偵コナン」における重要な意味を持つ味方の人物だ。彼の事は10年前に出会って、先日一方的に再会した。つまり、また黒の組織、シャロンさんとの対決があることを示している。それもおいおい考えていくとして、起きていない事件より重要なこと。それは明美さんの事だ。彼と明美さんの関係はとても余人が口を挟めない複雑なものだ。俺も明美さんを生かした責任として、どうにかしたいと思ってはいる。だがどうするのがいいかまーったく思い浮かばん。こういう時は本人と相談して……いや待てよ?確か赤井さんはかなりの格闘術の使い手だったはず。生かした責任として俺が彼女に課したのは「自衛、哀ちゃんを守ることができるだけの力を持つ」
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