第五十一話 -黒の組織との接触…の解決後-
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――ピンポーン
「ん?」
「誰やろか?こない朝早く」
「あ、私が出てきますね」
「お願いします、夏さん」
夏さんは居間を出ていき、玄関の方へと向かっていった。紅葉の言う通り、俺達が朝食をとり終わってからそう経っていないので宅配業者だとしてもまだ動き出すには早い時間だった。
「今日は誰か来る予定やったろうか?伊織?」
「いえ、私が把握している限り今日緋勇邸に来訪するご予定のお客様はおりません」
「と、いうことは知り合いかご近所さんかな?」
「あのー……」
「ああ、夏さん。それでどちらさまでしたか?」
「それがですね…」
そう言って夏さんが体を横にずらすと所在なさげに哀ちゃんが立っていた。
――
来訪者は哀ちゃんだった。どうやら彼女は俺に用があったらしく、詳しく話を聞いてみようとするとちょっと賢橋駅まで一緒に行ってほしいとの事。道中歩きながら、事情は説明すると夏さんの方をちらちら見ながら俺に言った。予定もあるけど、賢橋駅と自宅を往復しても十分間に合う時間だったので了承した。
そして、俺と哀ちゃんは賢橋駅に向かって出発した。約束通り、哀ちゃんはなぜ俺についてきてほしいかとの事情を教えてくれた。
「……なるほどねえ。夜遅くに新ちゃんが来て博士と新ちゃんはそのまま外出して朝になっても戻ってこないと」
「ええ。博士の新しい発明を受け取りに来たって言ってたのだけれどね。私が地下から上がってベットに横になってから博士のビートルが家を出る音が聞こえたのよ。それから私は眠ってしまったのだけど夜中に群馬県警の人の電話が来て。それで分かったのよ、彼らが群馬に行ってたってね。どうせ、工藤君に唆されて何かの事件に首を突っ込んでるんでしょうけど」
「それで朝になっても二人は帰ってこないし連絡もない。予備の追跡眼鏡があったから様子を見に行くというわけか」
「この眼鏡に映るのは探偵団バッジの在り処と工藤君のもつ発信機。これを見る限り、吉田さんたちは家にいて、動かない点は二つ。位置を地図に当てはめてみたら警察署と賢橋駅付近だったのよ」
「…事件に首突っ込んで巻き込まれて、警察署で事情聴取を受けているってわけね……はぁ〜、何やってんだか」
「警察署の方はともかく、賢橋駅の方が気になったのよ。それに……」
「それに?」
哀ちゃんは少々口ごもり、確信を得ていないけどと前置きをして。
「実は、私がお風呂から上がって地下の実験室に行くと二人が熱心な様子でパソコン画面を見ていたのよ。洋物のファンタジー小説だって誤魔化されちゃったけどあれって組織の手掛かりだ
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