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名探偵と料理人
第四十九話 -悪意と聖者の行進、他-
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光彦君も持ち上げてあげよう。元太君は博士にお願いするといいよ?」

「え、ワシ?」

「ボ、ボクもですか?」

「オレもかよ。けどどーやって乗せるの?肩じゃあいくら子供だからって2人分の幅は…」

「ふっふっふ。誰が肩と言ったかね?」

「へ?」

 

俺はしゃがみこみ、まず女の子二人を肩に乗せた。その状態で両の手をまっすぐにのばして男の子たちを手のひらに載せて立ち上がると同時に腕を90°曲げた。腕、肩、頭のラインで漢字の「山」になるような格好だ。

 

「わあ!すごいすごい!!たかーい!!」

「確かにこれならよく見えます!」

「…よくもまあこんな力が。それに全然揺れないし」

「確かにこれならよく見えるけどよ。オレと光彦は完全に他の人たちより抜けて見えるからパレードの車に乗った選手がオレ達に気付いてぎょっとしてるぞ…」

「いいないいな、四人だけずりいぞ!博士、俺も持ち上げてくれ!!」

「はいはい…」

 

その後しばらく子供たちを持ち上げていたが、博士の腰が限界を迎え元太君を下してしまった。その彼が、四人だけ見えている状態に満足するわけもなく台になりそうなものを探してパレードの人込みから離れてしまった。

 

「おい、元太!…しゃーねー。龍斗…にいちゃん。降ろしてくれる?」

「いいのかい?」

「うん。皆もいいよな?」

「ええ」

「ボク達だけ見ているのは不公平ですもんね」

「うん!」

 

俺は子供たちを下した。子供たちは離れた場所の…あれはゴミ箱か?に乗っている元太君の傍に走って行った。やれやれ。注意しなよ、博士。あ、倒れた。

言いそびれちゃったけど、新ちゃんと元太君が入れ替わって俺が持ち上げても良かったんだけどね。そうすればパレードから遠のくこともなかったし。彼の体重は恐らく40kg…だけどそれくらい俺にとってどうとでもない重さだ。

…あっれ?肩まわしたりしてたらいつの間にやら郵便ポストの上に光彦君と元太君の姿が。あれは流石にダメだろ…さっきのプランで行くかな。五人全員で、なら新ちゃんには博士の肩車で我慢してもらおう。

ポストにいる子供たちを降ろすためにポストに近づくと俺より先に注意する茶髪の女性がいた。

 

「ちょっとくらいいじゃんかよ、オバサン!」

 

元太君は言葉遣いをもうちょっと教えないとだめだな。いつか絶対トラブルになる。

 

「ちょっとー、オバサンはないでしょ?オバサンは!!いう事聞かないと…逮捕しちゃうわよ?」

「さ、佐藤刑事…」

 

おやま。かつらを取ったその下からは黒髪のショートが出てきた。子供たちが言った通り、佐藤刑事の変装だったらしい。
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