第四十九話 -悪意と聖者の行進、他-
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「蘭ちゃん、体調の方は大丈夫なの?神奈川で巻き込まれた事件現場で倒れたっていうから心配してたんだよ?」
「もう大丈夫だよ、龍斗君。倒れたのは過労による熱だっていうし、その熱ももう引いたしね。でも倒れたせいで日本史のテスト受けられなかったのは痛かったけどねー」
「もう!テストより蘭の体調でしょ!!部活のやりすぎも原因の1つって聞いたわよ?」
「そうやねえ。それでなくても蘭ちゃんは普段から一家の家事を一人で担っとるわけやし。無理はアカンよ?」
「しばらく俺が晩御飯作りに行こうか?」
「もう、みんな心配し過ぎ!もう大丈夫だから!!…それに悪い事だけじゃなかったのよ?」
「「「???」」」
蘭ちゃんの言葉に俺達三人は首を傾げる。その答えを待っていると、次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴り響き続きはお昼へと持ち越しになった。しかし、熱出して倒れて良かった事ってなんだろうな?
――
「…それで?」
「??それでって?」
「さっき蘭が言いかけた、悪い事だけじゃないって話よ。もったいぶらずに教えなさいよ!」
「べっつにもったいぶってるわけじゃあ…」
「そらあんな言い方して授業を挟んだんやから、なんやもやもやしてしまう園子ちゃんの気持ちも分かるで?」
「わかった、分かった!話すから…ただ思い出したってだけよ」
「思い出したって何を?」
「ほら、私一年の時に新一とアメリカに遊びに行ったじゃない?」
「あ、ああ。LAに住んでる有希子さんに会いに行ったんだっけ?」
「うん。その、LAに着いた後すぐに新一のお母さんに連れられてNYに飛んだのよ」
「あー、なんかきいたことあるわね。その話」
「ウチは初めて聞いた話やわ」
「あ…行ったのは高校に上がる直前だったから紅葉は始めての話だね」
「あ、そっか。その時はね、NY観光を楽しんだって話したんだけど…実は色々、事件に巻き込まれてたのよ。すっかり忘れてたけど」
「じ、事件?」
「…蘭ちゃん、よくよく二年に上がってからよくよく事件に巻き込まれるようになったけど高校あがる前からやったんやねえ…」
「ち、違うわよ!一年の頃は数えるだけよ!…それで、NYの時も事件に巻き込まれた後に熱出して倒れちゃって…その事件の事をすっかり忘れてたってわけ」
「なるほどねえ。つまり、一昨日出した熱と同じシチュエーションやったから思い出したって感じなんかな?」
「多分紅葉ちゃんの言う通りだと思う」
「……」
俺はその話を弁当をつつきながら聞いていた。この話って確か一年前に新ちゃんに口止めされていた話だな。それに…確か、事件現場にいたの
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