第四十七話 -血のバレンタイン-
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「んー?」
「なんや、龍斗?気になる記事でもありました?」
「ああ…ほら、いつぞやに一緒にパーティに出たじゃないか。シンドラー社の」
「ああ。ウチの家が出資して、龍斗はパーティのアラカルトを担当した関係で招待されたヤツな。それがどうしたん?」
「ほら。あの時の発表された「コクーン」。とうとう、全国で配置されたらしいよ。稼働も間もなくだって。個人で所有もできるらしいけどかなり高額だから一部の人しか手に入らないらしい」
「へぇ…シンドラー社も、社長が未遂とは言え殺人事件を犯そうとしとったのによう立ち直ったんやな?」
「殺人未遂になったのはオフレコ、だよ?紅葉」
「ああ、そういえばそやったね。龍斗もようけ事件に巻き込まれますこと」
「はは…俺としては勘弁願いたいことだけどね」
朝の登校前のちょっとした時間。俺はすっかり日課になった新聞のチェックをしているととあるゲームの記事を見た。世界初の没入型のVRゲームという事で日本だけでなく世界でも注目されているものだ。その発表会に俺と紅葉は招待された。園子ちゃんも鈴木財閥の令嬢として、毛利一家と少年探偵団も園子ちゃんの招待という事でそのパーティにいた。俺はパーティが始まるまで厨房にいたので知らなかったがどうやら彼らとお金持ちのご子息との間にいさかいがあったそうだ…パーティ会場でサッカーを始めるとか、聞いたときには阿呆かと思ったわ。そのパーティはさっきも言った通り世界中の注目、つまり賓客の中には海外のセレブもいた。そんな中、その様な行動をとる子供に育てた親、というレッテルは不利益極まりないもののはずなのだ。彼らが偉そうにできるのは自分たちの力にへこへこするものだけ。あの場には同格以上の人間はごまんといて、しかもただの子供だ。これを機に、関係悪化もありうるだろうに…俺と彼らみたいにね。
彼らが蹴ったボールが机を跳ね、そこにあった俺の料理を台無しにしやがった。(裏のチャンネル内で)あく抜きに10日間、寝ずに下ごしらえした一品だったのにな。まあ、その場にいた樫村というゲーム開発者がたしなめてくれたそうなのでその場はおさまったそうだが、何を考えたのか園子ちゃんと紅葉を連れて行こうとしたのだ。曰く「僕たちと一緒にいた方が貴女達のためですよ」だそうだ。そこで、紅葉がプッツンしてしまったそうだ…うん、詳細は教えてもらえなかったが新ちゃんが、「あのワルガキどもが気の毒に思えた」と言っていたから相当だろう。
「…?なんや?そないじっとこっちを見て」
「ああ、いや。料理を台無しにしたワルガキどもの事を叱ってくれたって聞いたけど、詳しくは聞いてなかったなあって」
「ああ、あれですか?」
あの時の事を思い出したのか、紅葉は形のいい眉をや
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