第四十五話 -アイドル達の秘密-
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「新ちゃん。ああ、結構派手に出血していたみたいだけど。担当医師が切傷部位を拡張でもしない限り助かると思うよ」
「そっか。オメーの目から見てどうだった?彼女の傷は」
「んー、確かにあの血管を傷つけたってことはかなり深く切られているだけど…」
「んだよ?なんか歯切れが悪いな」
「なんというか、ためらい傷?のように感じた、かな。最後の最後で無意識に、心が歯止めをかけたって感じだ」
「…それだとストーカーって線は」
「多分、ないだろうね。そうそう、星野さんと草野さんってそんなに仲が悪いわけではないと思うよ」
「え?」
一応さっき感覚開放したときに気付いたんだけど岳野さんの親指から微かに草野さんの血液の香りがした…風呂場に入る前にもかかわらず、だ。だけど、彼女自身もかなり参っているようだし、これは俺がどうこう言うより新ちゃんに任せた方がいいのかもしれないな。人間関係のうち、草野さんと星野さんの中が悪くないという事が新ちゃんの推理に役に立つといいけど。
「ねえ…」
「ん?ああ、星野さん」
「その、ありがとうね。薫の事」
「いえ。出来うる限りの事をするのは当然ですから」
「そう。でも一つ聞きたいことがあるのよ」
「ええ。どうぞ」
「…貴方、あの三人の中で一番動揺してないと言った。私ってそんなに冷徹に見える?」
新ちゃんと入れ替わるように俺に話しかけてきたのは星野さんだ…というか、そのアースレディースの衣装のまんまなのね。
「貴女の事、冷徹だなんて思っていませんよ。ただ、三人の中で一番動揺が少なかったってだけで。まあそれも、90と100の違い程度ですけど。ただ他の人と違ってそれが表に出ない…というより、出ないように努められるのが貴女だったってだけです。だって今、ほら…」
そう指差したのは、ベランダに出たことでタバコに火をつけようとしたライターを持つ右手。その右手はかすかに震えていた。
「…ふう。それなら、ヨーコはともかくユキはどうなのよ?それとなんでそんなにわかるのかって聞いてもいいかしら?」
「まあ職業柄ってことで。岳野さんは、彼女が実は一番動揺していましたよ。ヨーコさん以上に…俺も聞いていいですか?俺、小五郎さんの影響で皆さんの事を知っていたんですが…」
俺がリビングでヨーコさんを慰めている小五郎さんを見る。星野さんもつられてリビングに目をやった。
「確か、解散の理由は不仲…おそらく草野さんと星野さんだと思います。でも、今日星野さんが来た時のやり取りから不仲特有の嫌悪感のようなものを感じませんでした。なんというか、じゃれ合ってるというのがしっくりくる表現ですね
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