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名探偵と料理人
第四十五話 -アイドル達の秘密-
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持った二人が中に入ってきた。

 

「出来れば体の水をふいてあげてください」

「え、ええ…か、薫こんなに血がいっぱい出て」

「………」

 

涙ぐみながら真っ青になって体を拭いて行くヨーコさんと黙々と体をふく岳野さん。しまった、ちょっと酷なことだったか…?

 

「…私は何もしなくてもいいのかしら?」

 

そう聞いて来たのは、一人脱衣所にいる星野さん。いや、俺が彼女に何も言わなかったのは彼女が一番動揺が少なかったからだ。ヨーコさんも、そしてぱっとみそこまででなさそうな岳野さんもかなり動揺していた。本当は新ちゃんでもいいだが、この役割は彼女に割り振る方が今後の事を考えて適任だろう。

 

「星野さんには何かメモ帳のようなもので俺の言うことを書きとめてほしいんです。救急隊員に渡すために。彼女たちでは、動揺で手が上手く動きそうにありませんから」

「…わかったわ」

 

星野さんはそれだけ言うとリビングへと小走りに戻りすぐにメモ帳を持って戻ってきた。

 

「準備良いわよ」

「それじゃあ。まず、止血開始時間は○×時。切傷部位は頸部××の…」

 

星野さんは俺のいう事をよどみなくメモを取った。俺が必要な情報を言い終わり、彼女がメモを取り終わったと同時に草野さんの身体にバスタオルが巻き終わった。

 

「それじゃあ、彼女を廊下まで運びましょう。ここでは救急隊員が来るには狭すぎる」

「で、でもあんまり動かさない方がいいんじゃ?」

「ヨーコさんの言う通り、一般人の方がするのは危険なんですが…詳しくは言えませんが俺には心得があります。ほんの数mでも今やれることをしておくと言うのは重要なことですよ」

「で、でも…」

「ヨーコ!」

「輝美…」

「そのこ、この面子の中で二番目に最年少なのにものすごく冷静に、迅速に対応していたでしょう?大の大人の私達が動揺して立ちすくんでいる中てきぱきと指示を出して、止血までして。だから彼の言うとおりにしましょ」

 

その言葉に納得したのか、はたまたこのまましていてもいいことがないことに気付いたのかヨーコさんは俺の行く手を阻もうとはしなかった。

俺は彼女の体を慎重に抱え、部屋の玄関まで運んで…お、エレベーターが動いたな。救急隊員が到着したか。これで後は病院で処置してもらうだけだな。

 

 

――

 

 

間熊さんは草野さんの付添として病院について行き、俺は残った。ふぅ、助かると分かっているけれどちゃんと結果を聞くまでは緊張は解けないな…ベランダに出て黄昏ていると新ちゃんが話しかけてきた。

 

「なあ、龍斗。彼女、大丈夫なのか?」


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