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名探偵と料理人
番外編3 金田一少年の事件簿:黒死蝶殺人事件
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「ごめんね、るりちゃん。俺、もう帰らないといけないんだ」

「ね、ねえ!一緒に居よ?るりと一緒にいてよ!ここにいたら好きなだけ料理できるし、それに、それに…!」

 

そう言って涙ぐみ俺の服を掴むるりちゃん。

 

「…るりちゃん。短い間だったけど、俺はとても楽しかったよ。るりちゃんがつらい思いをしてるのもわかった。だけどね、俺がいなくなっても、これまで以上にるりちゃんを守ってくれる人がいるんだ」

「…るりを?」

「ああ。だから、俺がくる前よりずっと楽になるはずだよ。それでも辛くなったら…」

 

俺は俺の携帯番号とメールアドレスのメモを渡した。

 

「これなに?」

「これは俺のプライベート用の携帯の連絡先。中学生になったらるりちゃんも携帯電話を持たせてもらえると思うから。それまではお姉ちゃんたちに頼むといいよ」

「!!うん、毎日するね!!」

「あー…毎日はどうかな…俺も日本にいないときとかあるし。でも絶対返すから」

「わかった!じゃあまた会いに来てくれる?」

「ああ、それは約束しよう。またいつか、ね?」

「うん!」

 

指切りをして、るりちゃんと別れた俺は荷物を取りに自室に戻り荷物を担いだ。部屋を出た俺は玄関へ向かう途中に小野寺さんと出会った。

 

「…お前が昨日と今日、ここに来てくれたことを感謝する。本当に…感謝する」

「…今まで、そしてこれからも大変だと思いますけど、妹さんたちみんな美人じゃないですか。頑張って守ってあげてくださいね?」

「…ああ!ありがとう」

 

手を差し出してきたので俺は握手に応じ、斑目邸を辞した。

なぜ、俺は彼と別れる時に能力を開放していなかったのか。その事に数日後苦い思いをするとはこの時思ってもいなかった…

 

 

 

 

――

 

 

 

 

「ね、ねえ龍斗。この殺人が起きた所って龍斗がつい最近いったお屋敷やない?」

「え?」

 

金沢の仕事を終えて数日、朝食の用意をしていた俺にTVのニュースを見ていた紅葉がそう教えてくれた。俺は準備の手を止めて、慌ててTVに目を向けた。

殺されたのは、斑目家当主斑目指紋。彼の死体は蝶塚と呼ばれる場所で発見され。その死体が置かれたであろう時間帯を割り出しアリバイを調べた所、使用人の刈谷が容疑者に当初あがったそうだ。しかしその場にいた警察の協力者に、トリックを暴かれ逮捕されたのは…小野寺将之。犯行の動機は…

 

「父親の功績を奪った斑目指紋への復讐…か」

 

別れ際に感じたのは「覚悟」だった。俺はそれを家族唯一の男子として守っていこう
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