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名探偵と料理人
番外編3 金田一少年の事件簿:黒死蝶殺人事件
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うし」

「…でも、るりの言う通りですわ。今の物だけでは満足できないで際限なく集める。まさに強欲の権化…」

 

…いや、うん。さっきと同じようにリラックス効果の香りを発してはいるけど、揚羽さんも日頃の鬱憤がたまっているのかな。毒舌が止まらない…

 

「お姉様もせっかく結婚なさるのに小野寺さんとこのお屋敷に残ることを選択された。私達だけを残していけないと…私もるりもお母様やお姉様だってあの男の「蝶」。この虫かごから逃げ出せるせっかくの機会だって言うのに…あっ!!」

 

はっとした表情で俺の方を見て…唖然とする揚羽さん。そんな俺の姿は地面に横たわり、るりちゃんを「膝飛行機」していたのだから…うん、なんでこうなったのかな?普通にじゃれついてきたるりちゃんと遊んでいるうちにこうなった。普通は幼児に対して父親がするものなのだろうけど、ご当主はそんなことをしないだろうし。そもそも子供たちの嫌悪が根強そうなのでふれ愛なんてなかったのではなかろうか。来年から中学生という子に対してすべき事ではないかもしれないけどるりちゃんは周りが思っている以上に幼いのかもしれないな…

 

「…っぷ、あははは。なにやってるのるり!」

「揚羽姉様、おにいちゃんすごいんだよ!全然ぶれないの!」

 

まあ、たかが小学生を乗せたくらいで揺らぐ様な柔な鍛え方はしていませんから。

…それにしても、「コレクション」か。という事は、ご当主にはこの子には親の愛情ではなく所有物に対する愛着しかないのか…救えないねえ。何とかしてあげたいが都合よく現状が丸く収まる、なんでありえない。今だけでも彼女を笑顔にすることを頑張るしかないか。

 

「おにいちゃん、次は肩車して!」

「お安い御用さ、お嬢様」

「わーい!!」

 

先ほどの険のあった表情から一転して穏やかな表情で俺とるりちゃんを見る揚羽さん。束の間の安らぎでも、彼女たちに心休まる場を提供したいもんだね…

 

 

――

 

 

はしゃぎ疲れたのか、眠ってしまったるりちゃんを抱えて揚羽さんは彼女を部屋に連れて行った。俺は夕食を作り始めるまであと一時間あったのでテラスのようなところで一人ぼーっとしていた…おや?

 

「こんにちは、緋勇さん」

「ああ、舘羽さん…それに小野寺さん」

 

ティーセットを持って現れたのは長女の舘羽さんとその婚約者である小野寺さんだった。

 

「プロの料理人の方に出すのは恥ずかしいつたないものですが」

「いえいえ、丁度のどの渇いていたところでして」

 

俺はあいている席を二人に勧めた。

 

「それにしてもすごいのね。揚羽より年下の子
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