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名探偵と料理人
番外編3 金田一少年の事件簿:黒死蝶殺人事件
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ね、自分の好きなものでもその形をしたものを食すのに忌避感を感じる方もいらっしゃるので」

 

子供が可愛いうさぎさんの形をしたデザートを可愛いから食べられないと同じ理屈だな。

 

「事前にお聞きしているんです」

「なるほど、そういうのは私にはないですね」

「そうですか、それは良かった。何かリクエストはありますか?」

「そうですね…」

 

少し逡巡したあと彼は壁にかけてあった蝶を指さしてリクエストしてきた。自分のは、リアルにしてほしいとも。

 

「…それでは、そういうことで。厨房には…緑!」

「…はい」

「家内の緑です。彼女に案内させますので。それでは私はこれで」

「ええ。楽しみにしていてください」

 

ご当主はそのまま屋敷の中へと戻って行った。さて、と。俺の依頼だと、作らないといけないのは斑目家一家の分。鈴木家サポーターの皆さんが調べてくれた家族構成だと、当主紫紋、その妻緑。子供は三姉妹で上から舘羽、揚羽、るり。そして舘羽さんの婚約者である小野寺さん。るりさん…年齢は12歳だからるりちゃんかな?この子も美味しく食べれるように注意しないとね。

…それにしても、ご当主は定年を迎えていそうな不健康なご老人という感じなのに奥さんはなんというかすごい色気のある方だね。

 

「それではご案内しますわ…」

「ありがとうございます」

 

うん、にこりともしないね。なんとも陰鬱した雰囲気があると言うか…退廃的な…あれ?

 

「緑さん…でよろしいんですよね?」

「ええ。あなたは緋勇さん?」

「はい、今日明日よろしくお願いしますね。なんでも旦那さんの人生の集大成だそうで。とてもめでたいこ…とですね?」

「…っ!!え、ええ!全くその通りでございますわ」

 

…おいおい、なんだい今のは。仮にも自分の旦那に向けるような気配じゃないぞ?すげえ殺気だこと…お金持ちによくある、どろどろしたものでもあるのかねえ。俺の周りじゃ無縁だからこういう時本当に面食らうわ。

 

「…お母様!」

「あら、るり…ああ、緋勇さんこの子は私の娘の末っ子であるるりと申しますわ」

 

私の娘ねえ……俺はこちらに走ってきた瑠璃ちゃんに目線を合わせるように膝をついた…この目は……こういう時はアレ、だな。

 

「こんにちは、るりちゃん。俺は緋勇龍斗っていうんだるりちゃんの今日のご飯を作るために来たんだ。よろしくね?」

「…私のご飯?」

「うん。るりちゃんは好きな物とか嫌いな物とかはあるかな?何でもわがまま言っていいよ?何でも聞いてあげる」

「…なんでも?」

「ああ、もちろん!」

「じ
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