第四十四話 -大阪のダブルミステリー-
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おかげでオレも平蔵も年中体調を崩したこともなく、面白おかしい青春時代を送ったってわけや…あいつの飯を食わなくなった大人になって初めて風邪とか引いた時はビックリしたよなあ、平蔵?」
「ふん。いまじゃあ笑い話じゃ…それにしても」
うん?細い目を片方あけ俺の横の方を見る平蔵さん。上品にテッチリを味わっていた紅葉もそれに気付き箸と椀を置いた。
「公の場でしか面識がありませんでしたが。大岡紅葉と申します。龍斗とお付き合いさせて貰っております」
「まさか、龍斗君に彼女ができるとはのぅ。しかもそれが大岡家のお嬢様とは」
「それは確かにな。いっちゃあ悪いが龍斗君はウチのワルガキどもの面倒を見てもらっていた時から大人っぽかったというか。どうしても同性代の子たちと付き合うなんて思わんかったわ」
「それは、龍斗の近くにウチがいなかったからです。まあ、今はウチがいますけど?」
そう言って俺の腕に抱きついて半ば睨めつける紅葉。なんで喧嘩腰になってるんだ?
「はっはっは。小さいころを知ってると彼の恋人になる人物なんて想像がつかなかったですよ。まあ、相性はいいみたいですよ?彼女は龍斗君にぞっこんですよ」
「ほう?そう言えば毛利さんの娘さんは龍斗君と東京での幼馴染みだとか。私たちの知らないことを知っていそうですな?」
「いやあ、平蔵もそんな年頃の娘をねめつける様なことしなさんな。すまんのう、紅葉さん。オレも平蔵も小さいころからかわいがっとる龍斗君が彼女を作ったとなればその相手も気になるってもんでね」
「平蔵?女の子においたはあかんで?…それで毛利さん?東京での龍斗ちゃんはどないな感じなんです?」
「ああそれはですね…」
「せやねえ…」
「えっとね…」
そんなこんなで話が途切れることなく、楽しい夕餉は過ぎて行った。
――
「あの丸いんが大阪ホール!その向こうにぎょーさん並んでるビルんとこが大阪ビジネスパーク!ほんでここが大阪のシンボル、大阪城!どーー!ええとこやろ、大阪は!」
「そのセリフ、前にオレが案内したときと一緒やんけ…」
「え?」
「それに、高いトコからの大阪の景色はオレが前に通天閣から見せてんのや!はあ、お前に頼んだのが間違いやったか…」
「せやかて、天神祭も祇園祭も岸和田のだんじりもなくて、大阪城しかなかってんもん…」
「んじゃー、オメーなら今度はどこに連れてってくれたんだ?」
「そーやーなー、オレやったら。ほら、あっこに見える大阪府警本部を隅から隅まで案内したったるけどなぁ…」
「アホ!そんなん面白がるのはあんただけやで…」
「(みてえ…)」
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