暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第四十四話 -大阪のダブルミステリー-
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――

 

 

「おーいーしー!!」

「ほんまやねえ。こないな美味しいテッチリ、京都の料亭でも中々お目にかかれへんよ?」

「こりゃ最高だ!龍斗君が言っていた通り!!」

「当たり前や、オカンのテッチリは天下一品やからな!って、なんや和葉?箸もつけんと寝てしもうてからに」

 

大会終了後、俺達は何事もなく服部邸にお邪魔になり毛利一行にとってはやっとのテッチリを頂いていた…うん、父さんのをベースに服部家に合う味になるように工夫を凝らした静華さんの料理、とても美味しいです。それにしても自然に平ちゃんの肩に寄りかかっているねえ、和葉ちゃん。

 

「平次のせいやで?和葉ちゃん、あんたを探して走り回ってたんやから」

「しゃーないやろ?殺人事件解かなあかんかったし」

「いやー、それにしても流石は本部長の息子さん!電光石火の解決劇でしたなー!」

「いやいや、毛利さん。こいつの推理は勘働きに頼ったママゴトみたいなもんです…まだまだ毛利さんの足元にも及びませんわ…」

 

平ちゃんの頭に手を当てながら言う平蔵さん。あ、ぶすっとした表情になって新ちゃんを見てる。あれだな?小五郎さんより下=新ちゃんより下、って思ったな?

 

「けど平蔵…話を聞くにお前のガキん頃にそっくりやで?こら後が怖いなぁ…」

「おいおい、酒はあかんぞ?銀四郎」

 

確かに。和葉ちゃんを迎えにきたお父さん、銀四郎さんがお酒を飲んでしまったら車に乗れなくなってしまう。職業柄(いや、職業関係ないけど)飲酒運転なんてするはずもなし、どうするんだろ?

 

「心配するな。帰りはお前に送ってもらうつもりやから」

「……」

 

んー?なんだ、この2人の間にながれるこの微妙な空気は。って、平蔵さん酒飲めないじゃないか、それだと。

 

「…ねえ、龍斗ちゃん?どう、このテッチリ」

「え?ああ、とても美味しいですよ。夏の時期に失いがちな成分も考えて去年の冬に頂いたテッチリとは微妙に変えてますよね?底なしに食べられそうです」

「あら、ほんま?龍斗ちゃんにそこまで言われるなんておばちゃん嬉しいわあ」

「え?そうなんか?龍斗」

「うん。それに今日は平ちゃんが大会に出た後だってことも考えて工夫を施されているよ?やっぱりいいねえ、家庭料理って」

「…なんや、懐かしいやないか?のう、平蔵」

「ああ、ガキん時を思い出すな」

「え?」

「なんや、おとん。ガキん時て」

「ああ、オレと銀四郎それに龍斗君のお父さんの龍麻は幼馴染みやって事は話したやろ?ほんで龍麻も季節に合わせて、オレ達の体調に合わせていつもメシを振る舞ってくれたんや」


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