暁 〜小説投稿サイト〜
名探偵と料理人
第四十四話 -大阪のダブルミステリー-
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…ああ、犯人と対決してたのか。でもなんで体育倉庫なんだ?

俺は平ちゃんと犯人の会話を彼らに見えないように隠れて聞いてみた…ふむふむ、殺された垂見という人物がしごきで剣道部員をなぶり殺しにしたと。同じ剣道部員としてその場にいながら止められなかった犯人たちも同罪という事でしごきがバレたら道連れにすると就職が決まったこの時期に言われ、そうなる前に殺したらしい。…あん?

 

「居合の刀は…一振りやなかったっちゅうこっちゃ!!」

「くっ!」

 

犯人は剣道袋から刀を抜いて平ちゃんに切りかかった。…おい。

 

「はあぁああぁ…あ?」

「あん?」

 

上段から振りかぶった刀を思い切り振りきろうとした犯人とそれを受け止めるべく携帯を盾にしようとした平ちゃんが変な声を上げた。それにしても剣道の上段って刀の先が頭より後ろに来るんだね。お蔭で掴みやすい。

 

「んな!?」

「た、龍斗!?何で来ないなとこに?」

「それはこちらのセリフだけどねえ、平ちゃん?剣道の試合はどうしたのさ」

「なにをごちゃごちゃ言うとんねん!?…なんでや、なんで動かんのや!?」

 

犯人は刀を両手で握り、思い切り振りかぶろうとしているが俺が刀を人差し指と中指で掴んでいるせいでピクリともしない。その様子を真正面から見ている平ちゃんも真剣での命の危険からくる緊張も解け、今ではあきれ顔になっている。

 

「…はあ。まあええわ。最後は締まらんやったけど。龍斗。こいつ殺人犯や。捕まえるで」

「な、何言ってやがる!?俺は刀を持ってるんやぞ?!」

「その刀を両手で全力で振りかぶってんのに二本の指で抑えられてんのはどこのドイツや?しかもその相手に完全に後ろとられてんやで?観念しいや」

「…平次ぃっぃいいいいぃぃ…い?」

「へ、平ちゃん?」

「おーう、大滝ハンに和葉!」

 

そうして、刀を振りかぶったままの犯人は体育倉庫に来た大滝さんに手錠をかけられ連行されていった。

 

「ほんならなー!あとはたのんまっせ、大滝ハン!」

「…さって?やっと見つけたで、平次!さあ試合や試合!!」

 

え?試合時間過ぎてるのにこんなことしてたのかい…ん?本館の方から気絶した剣道部員に肩を貸している団体が出て来たな。平ちゃんがそれを見て…

 

「ん?アカン、もう終わってしもうたみたいや…でも、ま」

 

そう言って和葉ちゃんと一緒に来ていた新ちゃんに目線を向けて。

 

「しゃーないわ!試合に負けて、勝負に勝ったっちゅうこっちゃ!(最後はアシストされてもうたけどな)」

 

なんのこっちゃ。

 

 

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