第三章
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自分がその教育係になると思っていなかったのでだ、部長にその話をされてびっくりした。
「私が小林君のですか」
「うん、教育係になってくれるかな」
部長は麻美を社内の喫茶室に呼んでそこで共に紙コップのコーヒーを飲みながら話した。麻美のコーヒーは彼の奢りだ。
「そうしてくれるかな」
「そうですか、私がですか」
「君ならね」
麻美ならというのだ。
「仕事も出来ているし後輩の娘達への面倒見もいいし」
「だからですか」
「彼にも教えられるからね」
営業の仕事、それをだ。
「だからね」
「それで、ですか」
「うん、頼むよ」
自分の横に立っている麻美に話した。
「彼のことはね」
「わかりました」
「彼は元々総務だしね」
「今は営業にいてもですね」
「後々総務に戻ってもらうし」
「総務の人として営業を知ってもらう」
「それで来てもらってるしね」
だからだというのだ。
「総務にとっては将来山口六平太みたいになって欲しいらしいんだ」
「漫画の主人公ですね」
「向こうの部長が言うにはね」
「性格がかなり違うと思いますけれど」
その山口六平太と小林はというのだ。
「それでもですか」
「つまり会社の縁の下の力持ちだよ」
「そうなって欲しいからですか」
「彼に営業を知ってもらいたいんだ」
総務の仕事を広く知る為に他の部署の仕事も知ってもらいたいというのだ。
「だから彼に君がね」
「営業の仕事を教える」
「そうしてくれるかな」
「それじゃあ」
会社の中での命令なので麻美も頷いた、こうした時麻美は基本断らない。それで頷いて早速であった。
麻美は小林に営業の仕事を教えだした、小林は外見に相応しくおっとりした性格で仕事振りもそうだった。
だが真面目で熱心でだ、麻美に同じことでも何度も聞いていつも彼女の後ろをついて来て教わる程だった。
その彼にだ、麻美もいつも仕事を教えた。
「そう、そこはね」
「こうすればいいんですね」
「そうよ、後さっき話した取引先へのメールだけれど」
「あっ、まだです」
「すぐにして」
麻美は小林に即座に告げた。
「あとお昼はね」
「外回りに出てですね」
「御飯もその時に食べるから」
外回りのついでにというのだ。
「一緒に食べましょう」
「わかりました」
「吉野家でいいわね」
その昼食はというのだ。
「そこで」
「はい」
「そして帰ったらね」
どんどん話して教えて仕事に同行させる麻美だった、彼は常に麻美の後ろについて来ていて教わっていた。
その彼を見ているとだ、自然にだった。
麻美は同期の面々と一緒に昼食を摂っている時にだ、こう話した。
「何か完全に後輩の子よ」
「あんたにとってはね」
「そうしたポジションの子なの
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