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ゴブリンの貿易
第三章

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「そちらの言い値で」
「それでは」
 二人で話してだ、そのうえで。 
スワラーディの言い値で取引を成功させた、フランスの商人は大喜びで胡椒を自分の船に積み込んでフランスに帰った。
 そうして後で手紙でスワラーディに手紙を送った、するとだ。
 彼もまた満面の笑顔で店の者達に話した。
「これがまた新しい仕事になるかなら」
「いいんですね」
「かなり安く売りましたが」
「あれでよかったんですね」
「安く売ったが儲けさせてもらったよ」
 それが出来たというのだ。
「充分な、そしてな」
「あの人が次にまた来てくれる」
「何かフランスの神星の人にご馳走してかなり喜ばれたみたいですね」
「それならですね」
「また来てくれますね」
「そうさ、そうした人にはああした風にやるんだよ」 
 こちらの言い値だがかなり安く売るというのだ。
「そうしたらまた来てくれるからな、それにな」
「それに?」
「それにっていいますと」
「わしはあの人が好きになった」 
 スワラーディは店の者達ににこりと笑ってこうも言った。
「わしがゴブリンの商人でも普通に接していただろ」
「欧州の人ですが」
「それでもでしたね」
「何の偏見もなく驚きもせず」
「普通に接してましたね」
「そこもよかった、だから気に入ったからな」
 だからだというのだ。
「ああしたんだ」
「あえて安く売った」
「そうしたんですね」
「そうさ、また来てくれたらな」
 その時はというのだ。
「同じ様に安く売らせてもらうさ」
「そうされますか」
「それじゃあですね」
「仲良く売って」
「そのうえで、ですね」
「ああ、また楽しく儲けるな」
 そうするというのだ、こうしたことを話してだった。
 彼はこの日も商売に励んだ、この日はオーストラリアから毛人の商人が来たが彼はこんなことを言っていた。
「この前欧州から外交官が来たんですが」
「それで貴方を見てですね」
「毛人が普通に商いをしてるって」
「驚いていたと」
「こっちじゃ普通ですがね」
「その普通が欧州では違う」
「それで驚かれたんですよね」
 こう言うのだった。
「何でもない筈なのに」
「こっちと欧州や種族の構成が違いますからね」
「だから驚かれるんですね」
「そういうことですよ」
「そうですか、しかしわしはそれで少し不機嫌に思いましたが」 
 毛人の商人は自分ににこにこと話すスワラーディを見て言った。
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