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エアツェルング・フォン・ザイン
そのさんじゅうさん
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ぃ!玉藻!」

「うん!」

とたたたたたたー!と走って行った玉藻が、慧音の後ろに回り込んでヒトガタモードになり、膝カックンを仕掛けた。

「にゃ!?」

「今だぁ!」

翅を出し、慧音に突撃。

あ、そういえばこの前半吸血鬼化してから翅が虹色になってスピードも少し上がった。

今までの五割増しくらい。

「ざ、ザイン!?」

「尻尾捕まえた!」

「あ!ちょ!こらぁ!?」

慧音の尻尾はモフモフ、ではなくフサフサって感じだった。

だが!それでもかまわない!

「おぉー!フサフサ!フサフサだぞこれ!」

「本当だぁー!御主人!慧音の尻尾フサフサだよ!」

しかし…

「御主人!慧音のお尻むっちむっちだよ!?」

「ひゃぁぁん!?」

「あ!おいバカ!寄せ!玉藻!」

気付けば、ゴッ!ゴッ!と音がしていたら。

「「いっでェェェェェ!?頭が割れるぅぅぅぅ!?」」

慧音の頭突きを一発ずつもらい、悶絶。

「玉藻のバカァァァァァァァ!」

「だって揉みたかったんだもぉぉぉん!」

「つーかなんで俺までなんだよ!?」

「式神の責任は術者が持て!」

そのまま三人はスタスタと歩いていった。

「をい…玉藻ぉ…」

「あい…ごめんなしゃい…」










翌日、寺子屋に行くと、慧音が後ろを滅茶苦茶警戒していた。

その一部始終を見ていた人間二人。

「ザインさん…最低です。縁記に追記ですね」

「も、もう本貸してあげませんよ!?」

「待て!阿求!小鈴!俺は無実だ!
俺は慧音の尻には指一本たりとも触れていない!
それをやらかしたのは玉藻で俺は慧音の尻尾を堪能しただけだ!」

「「ギルティ!」」

「Why!?」

く、くっそー…

「ところで慧音君!昨日はお楽しみだったようじゃないか!」

「え…?慧音先生?」

「嘘ですよね?」

と、今度は慧音に疑いの目が向く。

「もこたんと竹林の姫と朝まで愉しんだんだろう?」

すると慧音は俯いてしまい…

「…カ」

「ん?」

「ザインのバカぁぁぁ!」

ゴッ!

「ぎにゃぁぁぁぁ!頭がぁぁぁ!?」

「うわぁぁぁーん!」

と泣きながら何処かへ走って行った。

「マジか慧音…そこまで恥ずかしかったのか…?」

呆然と慧音の背中を見ていると…

ガシィ! と両肩に手が置かれた、いや肩を捕まれた。

「「ザインさん?」」

肩がギチギチいってるぅ…

お前ら非戦闘系の能力だろ…?

「「ちょっと来ましょうか」」

「あい(泣)」

女の子こわい…





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