【雨の向日葵】
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逢おうな」
大人のネジの言葉に、幼いネジは黙って頷き、踵を返して向日葵畑の中を駆け出す。
もう決して、振り向かない───
ハッと、そこで目が覚めた。
……何か、不可思議な夢を見ていたはずだが、目を覚ました瞬間に忘れてしまったようだ。
酷く、寝汗をかいている。連日のように降り続く雨で湿度も高くベタついている。湯浴みをしなければ……と感じた。
ネジはおもむろに、布団から身体を起こして戸を開け、縁側に出る。
──毎年のように、今日という日は雨がしとしとと降り続いている。自分の生まれた時も、そうだったのだろうか。
父様と種を蒔いて芽吹き、父様が居なくなっても花開いて再び種となって──そうやって繰り返してきた。
梅雨が明けたら、今年もまた庭先に向日葵が咲き連なるだろうか。
そんな事を想いながら、ネジは鉛色の空を暫し見上げ続けていた。
《終》
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