第四十五話 神戸の大工その十三
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「ですから」
「それでやな」
「自分と綾乃ちゃんでそこまで進めたんやな」
「左様です、ではもうそろそろです」
太宰は二人にあらためて話した。
「棟梁、姫巫女様も戻って来られます」
「そやな、綾乃ちゃんもそろそろな」
「戻って来るわ」
「既に姫巫女様がお誘いをかけた者は五人共この御所に来ています」
「綾乃ちゃんも全員誘えたんやな」
「これでほんまに揃ったな」
「はい、それではです」
揃ったからにはというのだ。
「あの方も戻られますので」
「綾乃ちゃんの話も聞こか」
「そうしよか」
「あらためてお茶とお菓子の用意をしまして」
そうしてというのだ。
「お聞きしましょう」
「そうしよか」
中里が応えてすぐにだった、綾乃が戻ってきた。いつも通り白い姫巫女の服を着て楚々とした雰囲気である。
その綾乃を棟梁の座に据えてだ、中里は彼女にお茶と羊羹を出してから尋ねた。
「綾乃ちゃんの話も聞きたいけどな」
「うちのっていうと?」
「そやから五人こちらに加えられたやろ」
「その話かいな」
「それしてくれるか?」
こう綾乃に言った。
「そうしてくれるか?」
「おもろい話やないけどええ?」
このことを断った綾乃だった。
「それでも」
「いやいや、おもろい話やからな」
それでと返した中里だった。
「聞かせてもらうで」
「人誘って来てもらうだけやけど」
「それが結構おもろいからな」
「そうなんやな」
「こいつの話もおもろかった」
芥川を指し示して綾乃に話した。
「そやから綾乃ちゃんもな」
「そう言うんやったらな」
綾乃も頷いてだ、そしてだった。
お茶を一杯飲んでからだ、話に入った。
「まずは都での話をするで」
「確かいきなり結構会ったんやな」
「何と四人おったんや」
綾乃が会うことになっていた五人のうちのというのだ。
「一人だけ越前でな」
「殆どが都に集中してたんか」
「そや、ここにな」
まさに彼等が今いる拠点にというのだ。
「そやからまずは都の中を巡ってな」
「それでやな」
「話をしたんや」
そうだったというのだ。
「それで皆に来てもらったんや」
「話が早かったんやな」
「ほなこれから話すで」
「頼むわ」
こうしてだった、綾乃は自分の話をはじめた。彼女が仲間達を誘いそうして仲間にしていったその話を。
第四十五話 完
2017・12・8
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