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天使のような子に恋をした
天使のような子と旅行先で出会った
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ようにしないと。

「ま、まあ、俺も悪かったよ。いきなり可愛いなんて言われたら、そりゃあ顔も合わせずらくなるよね」

「本当だよ〜! あの後恥ずかしかったんだからね! ……嬉しかったけど」

「え、何だって?」

「ううん、なんでもないのよ! なんでも!」

 最後の言葉が聞き取れなかったけど、まああまり大したことではないだろう。南さんもこう言ってるし。

「と、とにかく! いきなり可愛いなんて言っちゃダメ!」

「ごめんごめん。……でも、あの時の言葉は本心だからさ」

「……!?」

 突如として南さんの動きが止まった。今回もまたやらかしてしまったのだろうか。

「……もう、神崎くん、いじわるです」

「……!? ご、ごめん……」

 その時の南さんの表情は、今まで見たことがないものだった。目には涙を浮かべ、顔は真っ赤に染まり、上目遣いで俺を見てくる。当然、やらかしてしまったという焦燥感が沸いてきたけど、それ以上に今の彼女にはクるものがあった。

 ──キミがそんな表情をするから、俺はもう一度キミに恋をしたじゃないか。

 会話がぷつりと途切れ、俺と南さんの間に沈黙が訪れる。だがそれは長く続くことはなく、意外にもそれを破ったのは彼女の方だった。

「……今度の日曜日、空いてるかな?」

「えっ? まあ一応空いてるけど……」

「良かった。もし──もし神崎くんが良ければだけど、い、一緒に出掛けてくれないかな、なんて」

 ……今なんと? 一緒に出掛けてくれ? それってもしかしたら世間一般に謂うデートって奴では……?

「えっ、それって……」

「うん、簡単に言えばデート……だよ?」

 デート、デート、デート……その言葉を良く考え反芻する。

 ──やっぱりどう考えてもあのデートしかないよな……?

 南さんとデート、南さんとのデート……。
 どうしよう。思考という名の回路がショートしそうだ。

 とりあえず落ち着け、俺。一旦冷静になろう。

「え、えっと……それじゃあその日、一緒に出掛けようか」

「ほ、ほんと!? ありがとう神崎くん!」

「お、おう。こんな俺だけどよろしくな」

「こちらこそよろしくね!」

 南さんに恋をしてから早一ヶ月。人生初のデートは意外にも早めにやってきた。誘ったのが男である俺からではないのは何とも情けないけど。

「蒼矢ー! ことりちゃーん! こっちは着いたぞー!」

 いつの間にか先に行った3人は、目的の店へ着いていたようだった。100メートル先から手を振る翔真と穂乃果さんの姿が見える。

 やっぱり南さんと一緒に歩いていると、時間が短く感じる。時間にしておよそ10分。本当にあっという間だった。

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