第四十五話 神戸の大工その九
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「それでや」
「石見まで行ってか」
「それで声をかけてな」
「こっちに迎え入れるんやな」
「そうするんや、今からな」
「そのことわかったわ、ほなな」
「その石見にやな」
「行くで、速度上げて」
狐は芥川に笑った声で応えて言った。
「それですぐに石見に行くで」
「ほな頼むで、鉱山だけやなくて」
それに加えてというのだ。
「工業の方もな」
「やってくんやな」
「こっちの世界ではアメリカで産業革命が興った」
「ああ、科学とか工業やな」
「それでえらい発展してる、その工業をや」
「日本でもやな」
「まだはじまったばかりや、それをや」
その工業をというのだ。
「どんどん発展させてもらう為にもな」
「そいつに来てもらうんやな」
「そうしてもらう、もっともそいつは鉱業の方が主や」
このこともわかっている芥川だった。
「そっちを主に頑張ってもらってな」
「工業の方はどうなるねん」
「実はそっちはアメリカに凄い奴がおってな」
こちらの世界で産業革命を興したこの国のというのだ。
「それでや」
「アメリカを併呑してやな」
「それからになるわ」
「そうか、それからか」
「それまでは鉱業を発展させてもやな」
「主は鉱業や、そこはしゃあないか」
「中々難しい話やな」
狐も主の話を聞いてこう言った。
「政の話の中でも」
「綾乃ちゃんも太宰も工業もどんどん発展させていきたいけどや」
「それにはか」
「まだ人材がおらん」
「鉱業の方が主になるか」
「そっちを発展させてな」
そうしてというのだ。
「どんどん鉱山から掘ってな」
「豊かになるんやな」
「幸い炭坑もある、それでや」
「炭坑からもやな」
「石炭掘るしな、これも使ってな」
「工業も発展させてくか」
「させられるだけな」
可能な限りというのだ。
「そうしてくわ」
「そう考えてるんやな、そうしてその為に」
「今から石見に行ってや」
「その坑夫を仲間にするか」
「そうするわ、あと鍛冶屋が入ったらな」
綾乃が誘いをかける者の話もした。
「そいつの技術もな」
「使ってやな」
「工業を発展させられるしな」
「やり方次第か」
「そうなるわ」
こうしたことを話しつつその石見の銀山まで着いた、するとそこには如何にも柄の悪そうな者達が働かされていた。
その者達を見てだ、狐はまずはこう言った。
「ほんま一目見ただけでな」
「極悪人ばっかりやってわかるやろ」
「ほんまにな」
「この連中は刑期を終えるまでずっとや」
「ここで働かさせられるんやな」
「そや」
まさにというのだ。
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