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大阪のろくろ首
第四章
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「じゃあ今日もお願いします」
「ええ、それじゃあね」 
 明菜は首を延ばして彼に応えた。
「今日もね」
「授業頑張ります」
「そうしてね、ただね」
「ただ?」
「翔太君も慣れてくれたのね」
 明菜は首を延ばして彼の顔の前に自分の顔を近寄せて笑って話した。
「それは何よりよ」
「何よりですか」
「そうよ、実は結構内緒にしてるのよ」
「ろくろ首であることは」
「そうよ、だって妖怪だって知られたらね」
 それがおおっぴらになればというのだ。
「色々言われるから」
「だからですね」
「石だって投げられかねないし」
 迫害も受けかねないというのだ。
「だからね、ちゃんとね」
「首を延ばして見せる人はですか」
「選んでるの」
 そうしているというのだ。
「先生もね」
「そうだったんですね」
「そうよ、これでもね」
「そうだったんですね」
「翔太君とご両親ならね」
「それを言って見せてもですか」
「いいと思ってね」
 それでというのだ。
「先生も首を延ばしてるのよ」
「そうですか」
「うちの旦那も受け入れてくれてるから」
 ろくろ首であるこのことをというのだ。
「だからよ」
「今みたいにですね」
「首を延ばしてるのよ」
「そうですか」
「そう、信じられる相手にだけよ」
 見せているというのだ。
「こうしてね」
「そうだったんですね、僕信頼されてたんですね」
「してるのよ」
 信頼、それをというのだ。
「いい子だって、じゃあ今日もね」
「はい、これからですね」
「授業しましょう」
 首を楽しく延ばしてだった、明菜は翔太に言った。そうしてそのまま楽しく二人で授業を行うのだった。
 その授業の後でだ、翔太は母に夕食の時に話した。
「これからも先生にはね」
「家庭教師でいてもらいたいのね」
「うん、信じてもらってるから」
 それ故にというのだ。
「だからね」
「このままでいいの」
「うん、首を延ばしてもね」
 それでもと言うのだった。
「全然ね」
「いいのね」
「もうそうなったよ」
 完全にというのだ。
「本当にね」
「それは何よりね、色々わかったみたいね」
「うん、先生にずっと授業教えてもらってね」
「それは何よりね、それじゃあ」
「明日もだね」
「授業受けてね」
「頑張るよ、それでね」
 さらに話した翔太だった。
「もっと色々なことをわかっていくよ」
「そうしなさいね、あとあんた今付き合ってる娘いるでしょ」
「実はね」
 このことも告白する翔太だった。
「同じ学年のね」
「その娘のこと、大事にしなさいね」
「うん、そうするよ」
「その娘がろくろろくろ首だとしても問題ないわね」
「もう問題ないよ」
 確かな顔で答えた翔太だ
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