第六十八話 華陀、益州に戻るのことその七
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「張譲か?」
「宦官のね」
「彼よね」
「あいつならやりかねないな」
語る華陀のその顔は深刻なものになっていく。
「贅のことしか考えていないからな」
「自分自身のね」
「その資質を全てそこに使っている位よ」
「その張譲ならやりかねない」
こう話すのだった。
「そう考えるのが妥当だが」
「けれど張譲は妖術は使えたかしら」
「それはどうだったかしら」
二人が指摘するのはこのことだった。
「それは一体ね」
「どうだったかしら」
「いや、聞いたことはない」
まさにその通りだと答える華陀だった。
「確かに陰謀家だが。妖術を使うとはな」
「そうよね。彼はね」
「妖術を使えないわ」
それはだ。間違いないというのである。
そしてだ。華陀はさらに話すのだった。
「つまり彼とは別にね」
「妖術を使う存在がいるのよ」
「!?そいつは」
ここでまた察した華陀だった。すぐにこの名前を出したのだった。
「まさか。于吉か」
「そうよ、彼よ」
「彼は間違いなくここにいるわよ」
二人が指摘した。そのことをだ。
「この洛陽の何処かにね」
「潜んで。そうしてこの都をね」
こう華陀に話していく。
「暗黒の世界にしているのよ」
「絶望で覆っているのよ」
「絶望か」
また言う華陀だった。
「じゃあ太平要術の書は」
「間違いなくここにいるわ」
「そうよ」
二人の指摘は続く。
「洛陽の何処かにね」
「潜んで。よからぬことをしようとしているわ」
「そうだな。あの書を封印する」
華陀の言葉が強いものになる。
「その為にも」
「ええ、じゃあダーリン」
「いいかしら」
ここでまた話す二人だった。
「この洛陽の何処かにいる于吉とその書を探し出して」
「封印しましょう」
「わかった。それならだ」
すぐに動きをはじめる三人だった。しかしそこに。
白装束の一団が来た。瞬く間に三人を取り囲んだ。
そのうえでだ。華陀が身構えながら述べた。
「何だ、この連中は」
「決まっているわ。悪の手先よ」
「それよ」
こう話す二人だった。
「あたし達のことに気付いたわね」
「相変わらず目ざといわね」
「まさかこの町に来るとはな」
「また出て来たか」
白装束の男達は貂蝉と卑弥呼を見ながら述べた。
「どうやらこの世界でもか」
「邪魔をしに来たというのだな」
「邪悪な謀略を阻止しに来たのよ」
「そういうことよ」
しかしだ。二人はこう彼等に反論するのだった。
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