第6部
柳生編
第84話 何時の時代も上司には苦労させられる その1
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うしたのだ? 我らの目的は主を守護する事。例え主と密接な関係を持っていたとして、そいつらが主の脅威となるのならば排除するのが我らの使命だ」
急に殺気立った言い方でシグナムは宣言してきた。要するに、尻尾を掴み、然る後にはやてに事が伝わらないように闇の内に葬れ。そう言っているのだ。
「で、その役目は誰にやらせるんだ?」
「決まってるだろう。何のためにお前に聞かせたんだ?」
「・・・・・・」
その時、話を聞いていたザフィーラの尻尾が何時になく垂れ下がったのを客は見逃さなかったと言う。
つまり、彼女はこう言って来たのだ。
”お前がやれ”と―――
***
「成程、そっちもそっちで大変だったみたいですね」
場所は変わりどこぞの河川敷。其処でザフィーラは同じ境遇に当たる真選組所属の者と会っていた。
彼もまた、自分の上司に無理難題を押し付けられて困り果てていたのだそうだ。
「あぁ、万事屋の奴らが怪しいから尻尾を掴み、然る後に処分しろと命令されてな」
「うちと似たようなもんですね。こっちも副長に旦那が攘夷活動に加担してないかどうか探りを入れて、もしそうならば切れって無茶苦茶な命令されてるんですよ」
この山崎退と言う男もまた上司に無理難題を押し付けられて途方にくれていたようだ。
だが、やる事は同じようだし、此処は二人で手を組んでやった方が手っ取り早いのは事実。
それに楽になるのも頷けられた。
「どうですかねザッフィーの旦那。目的は似通ってますし此処は共同で行動しませんか?」
「それは賛成するが・・・何だ、そのザッフィーとか言う呼び名は?」
「いやぁ、フルネームだとちょっと堅苦しいんで、此処は愛称みたいな感じで可愛く言ってみようかなって思ったんですよ」
「有難迷惑だ。ちゃんとフルネームで言え!」
何でわざわざどこぞの絵本の世界に在住している兎の生き物染みた名前で呼ばれにゃならんのか?
それだけは断じて認める訳にはいかなかった。
盾の守護獣としての沽券に関わる問題なのだから。
「それで、この後はどうするつもりだザッキー」
「まぁ、挨拶ついでに万事屋の旦那の所に行くつもりですけど・・・え? ザッキーって・・・何?」
「さっきの仕返しだ。どうだ、可愛くなっただろう」
「嫌、俺にはもう愛称あるんですけど・・・ってか、何気に旦那も結構根に持つんですね」
「余計なお世話だ」
河川敷にて二人の苦労人は一蓮托生のもと手を組む事となった。
これが後の世に語られる歴史的な同盟かどうかは生憎定かではないが、とりあえず世界を跨いだ友情が芽生えたかには見えた。
「ザキさん、ザッフィー! 危ない避けてぇぇ!」
「え?
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