第六十八話 華陀、益州に戻るのことその六
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「そんな奴はな」
「ダーリンの魂がよ」
「その魂が知っているのよ」
「魂がか」
「そうよ、あたし達もよ」
「魂は声を通じて様々な世界の中にあるのよ」
こう話すのだった。その華陀に対してだ。
「だからダーリンもね」
「そのケイサル=エフェスを知っている筈よ」
「そうなのか。そいつをか」
「ええ、そうなの」
「そういうことなのよ」
「成程な、俺の魂は他の世界にもあるんだな」
華陀はそのことがわかった。そしてだ。
そんな話をしながらだ。三人は洛陽の中を巡っていく。兵達の姿は多い。しかしだった。
彼等は何もしない。全くだった。
「動きがないな」
「そうね、全くね」
「予想通りね」
また話す彼等だった。
「兵達は何もしないわ」
「暴虐も何もね」
「略奪もしていないし」
「規律が取れているな」
兵達はだ。そうだというのだ。
「しかし。町は」
「かなり寂れているわね」
「何もかもがなくなっているわ」
「重税をかけられているな」
華陀はそのことを察した。
「それも相当な」
「見て、あれ」
「あの宮殿よ」
二人が指差したそれはだ。巨大かつ壮麗な宮殿だった。それが暗澹たる場所だった。それを指差してだ。二人は華陀に話すのだった。
「随分と立派ね」
「あれだけの宮殿を築くにはね。相当なお金がかかるわ」
「人手も必要だな」
華陀はこのことも言った。
「かなりのな」
「そうよね。つまりは」
「人も徴用してるわね」
「建築は国を衰えさせる」
華陀は深刻な顔で述べた。
「権力を持つ者の病だ」
「ええ、それでだけれど」
「あれは誰が建築させているか」
「それが問題だけれど」
「ダーリンは誰だと思うのかしら」
「普通に考えれば董卓だな」
華陀は考える顔で述べた。
「宰相になった彼女がな」
「そうね、普通はそう考えるわね」
「今一番力を持っているし」
「しかしだ」
それでもだとだ。華陀はここでこう話すのだった。
「俺は董卓のことは聞いているが」
「それでもよ」
「今回はおかしいわよね」
「ええ、董卓にしては」
「何かがおかしいでしょ」
こう話すのだった。三人でだ。
そしてだ。華陀は二人に対してまた話した。
「董卓は善政を愛しているからな」
「擁州はそれでかなりまとまっていたわね」
「彼女の善政のお陰で」
「その董卓が洛陽に来て急にこんなことをするかどうか」
華陀は考える顔で述べていく。
「甚だ疑問だな」
「そうよね、ちょっとね」
「考えられないわよね」
「だとすれば誰だ?」
考えをさらに
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