第六十八話 華陀、益州に戻るのことその五
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「これからね」
「洛陽に行きましょう」
「わかった、それならな」
こうしてだった。三人は一旦洛陽に入ったのだった。その洛陽は。
沈みきっていた。何かが違っていた。
「ううむ、これは」
「まずいわよ」
二人でだ。こう話すのだった。
「この状況は」
「予想していたけれど」
「そうだな、おかしいな」
華陀もだ。その暗澹としている都を見て話す。
「人の顔が暗いな」
「ええ。ただ」
「ダーリン、話によるとね」
貂蝉と卑弥呼が華陀に話す。
「洛陽では暴虐の限りが行われていると言われていたわ」
「そう言われていたわね」
「そうだったな。董卓の軍によってな」
「暗澹とはしているわ」
それは事実としてもだというのだ。
「けれど。それでもね」
「暴虐が行われた後はないわね」
「人々の顔は暗いがな」
それでもだと。華陀も話す。
「怯えたものはないな」
「そうよね。全然ないわよね」
「何もね」
「怯えじゃない」
そうではない。華陀は言った。
「ただ、心が死んでいるな」
「そうよ。空も暗いわ」
「真っ暗になっているわ」
そのことも話される。確かに空は暗澹となっている。
そしてだ。その空はだ。
「あの空はね。妖術が行われている時の空よ」
「それが今の空よ」
「じゃあ洛陽には」
「ええ、間違いなくいるわ」
「この都にね」
「その妖術を行っている人間は誰か」
華陀が考えたのはそのことだった。
「果たして誰かだよな」
「そう、それを調べるのよ」
「その為にここに来たのよ」
貂蝉と卑弥呼がそれを話す。
「若しも。あたし達が思っている通りだったら」
「大変なことになるのよ」
「そういえば御前達は」
「ええ、あたし達も別の世界から来たのよ」
「そうなのよ」
それだと話す二人だった。
「別の世界からこの世界に来て」
「この世界を害する存在を止める為に働いているの」
「じゃあ今の戦乱はか」
「そうよ、誰かが蠢いているわ」
「闇の中でね」
「そいつも他の世界から来ているんだな」
華陀は二人の話からこのことを察した。
そしてだ。彼は二人に対してまた話すのだった。
「その連中かも知れないな」
「そう、様々な世界を旅して蠢く存在はね」
「色々いるのよ」
「色々か」
「そう、スサノオやケイサル=エフェス」
「そうした連中よ」
華陀の知らない名前だった。
その名前についてもだ。華陀は二人に対して尋ねた。
「何だ?スサノオ?それにケイサル=エフェス?」
「ダーリンはケイサル=エフェスとは面識があるわ」
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