【比べられぬもの】
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なか帰って来れなくても同じ里に居るわけだし、ボルトは全くナルト君に会えないわけじゃない。……家族が健在でも、疎遠の親子だって存在するし……」
「そうだな……ボルトは、恵まれているとは思う。だが、わざわざ他と比較する必要もないんじゃないか。そんな事をしていたら、ボルトは我が儘だと言っているようなものだ」
感情は特に表わさず、静かな口調で述べるネジ。
「そう……よね。寧ろ我が儘なのは、私なのかもしれない……。私もヒマワリも我慢しているんだから、ボルトも我慢しなさいって、言っているようなものなのよね。あの子はあの子なりに、我慢しているのに」
「ヒナタは無意識の内に……いや、意識的にも自分やナルトとボルトを比較しているんだろう。──俺に対してもそうだ」
「……え」
「親を早くに亡くしたという意味では、ナルトも俺も似たようなもので、寂しかったというのも事実だ。……気づいた時から親が居ないのと、途中から失うのとでは、また意味合いが違ってくるだろうが」
「────」
微かに揺れる茶の湯面にうっすらと映る自分の顔が、酷く動揺しているかのように感じるヒナタ。
「お前は、父親に妹と比較され、嫡女だが跡目から外された。……名門の家に居づらかったのは判る。今でこそ家を出た上で表向きは父と妹と仲良く出来ているように見えても、根底にある拭いきれない寂しさを、未だに抱えているんだろう」
「それは……、ネジ兄さんも、なんでしょう。今でこそ、私も兄さんもこんな風に話していられるけど、根底にある寂しさはネジ兄さんだって──」
「なら俺がボルトに直接言ってやればいいのか? ……俺の父は、俺が四つの時に亡くなって寂しい思いをしたが、ボルトには火影として立派に働いている父が居て、なかなか家に帰って来れないとはいえ俺と違って全く会えないわけじゃない。だから我が儘を言うな、我慢しろと」
ネジはあくまで静かな口調は崩さず淡々としており、ヒナタにはネジの表情が読み取れず目を伏せる。
「??──」
「他人だろうと身内であっても、寂しさを比較するものじゃない。……せいぜいしてやれる事があるとすれば、その寂しさを少しでも紛らわせてやるくらいだろう。それが本人にとって、余計なお世話だとしても」
「ごめんなさい……私、自分勝手な事ばかり…っ」
母親として自分が余りにも不甲斐なく感じヒナタは、はらはらと涙を零す。
「すまん……俺も少し言い過ぎたな」
抑えていたものを絞り出すように涙する従妹を、ネジはそっと慰めるようにヒナタの頭に優しく片手を置いた。
「俺では……このうずまき家の太陽であるナルトの代わりは到底務まらないが、俺なりに陰ながら支えて行きたいと思っているよ。俺もそんなにしょっち
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