【比べられぬもの】
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とならいい線行くのに──」
ボルトの一言で、その場の空気が微妙になる。
「あ、いや、別に父ちゃんは関係ないっつーか……。ごめん、何かオレ……もう寝る」
ボルトは居た堪れなくなり、一人立ち上がる。
「ネジおじさん、今日は来てくれてありがとうってばさ。その……、嬉しかった。じゃあ、おやすみっ」
その言葉に嘘はなく、ボルトは若干照れた様子で二階へ駆け上がって行った。
「──ねぇおじさん、ヒマに絵本読んで!」
ヒマワリのその屈託のない声に、ネジはふと我に返る。
「あぁ、いや……ヒマワリもそろそろお休みした方がいいんじゃないか?」
「うん、だからおやすみ前にネジおじさんに絵本読んでほしいの!」
「ネジ兄さん、そうしてあげて。ヒマワリも喜ぶから」
従妹のヒナタもそっと促す。
「あぁ……判った」
───────
……ソファで絵本のお話をしばらくネジが読み聞かせていたところ、ヒマワリはいつの間にかネジの膝の上ですやすやと眠ったらしかった。
「ふふ、ネジ兄さんの読み聞かせがヒマワリには子守唄になったみたいね」
「そんな事は、ないと思うが……」
「ヒマワリを、部屋に寝かせてくるわね」
ヒナタはそう言ってヒマワリをネジの膝からそっと抱き上げる。
「じゃあ、俺はこれで帰るとするよ」
「待って、ネジ兄さん。……少し、二人でお話しない?」
「ん……?」
「先にヒマワリをベッドに寝かせてくるから、ちょっと待ってて」
ネジは立ち上がった姿勢から、再びソファに腰を下ろした。
「──ネジ兄さんはお酒よりお茶が好きだものね、今淹れるから」
ヒナタは盆に二人分の湯呑みを用意し、熱い茶を淹れて従兄の元に運ぶ。
「ありがとう、ヒナタ。……それで、俺に何か話したい事があるのか?」
「あの子の……ボルトの事、なんだけど」
ネジは茶を受け取って少し口に含み、ヒナタは顔を俯かせた。
「あぁ……、俺が来る事で逆に、気を遣わせてしまっただけかもしれないな」
「そんな事はないわ、あの子なりに楽しそうにしていたもの」
「楽しそうにしてくれていたのであって、実際はやはり父親のナルトでなければ寂しいんだろう」
「寂、しい……。そうよね、母親の私でも、ボルトの寂しさは埋められないのよね。私、なかなかあの子の事を分かってあげられなくて……。寂しいのは、私もヒマワリも同じだけれど……ナルト君にとって、里のみんなが家族だから──」
ヒナタは手元の湯気の立つ茶を見つめたまま続ける。
「でも実際、家族を早くに亡くした人からすれば、とても恵まれていると思うの。火影の責務で家にはなか
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