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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#2
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ある。ヤツメウナギによく似た特徴的な円状の口腔はサメのように内側に向かって何列もの凶悪な歯が絨毯のように敷き詰められ、数十対ある脚部はカマキリの鎌のように鋭い突起状のかえしがあり、斬るというよりは引き千切る形だ。さらに、ヌメヌメとした体表はトカゲじみたウロコに厚く覆われ、斬撃系と一部の魔法に耐性を持つ。

さらにこの手の虫系モンスターには多い毒持ちで、麻痺(パラライズ)(ポイズン)というSAO時代から引き継ぐオーソドックスなものから、混乱(ウェルター)呪詛(カース)、固化のようなALO由来の独自攻撃も追加されている。

とくにこの固化の(ブレス)が厄介で、気化させたロウのようなものを吐き出し、対象者の足元で凝固させて移動阻害を行ってくるのだ。しかも、一度固化したブレスは結構な硬度でちょっとやそっと殴ったくらいでは壊れない。かといって防ごうにもモノが気体のために物理的な防御方法では対処は難しい。一番効果的なのは魔法による非物理防御なのだが、予備(プレ)モーションが分かりにくく後手に回っているのが現状だ。

だが。

「口の奥、そこに宝石(ジェム)がある!その色に注意して!攻撃の種類に応じて変わる!まずはその法則性を探るんだ!」

あっさりと最適な対応策が立案されていく様子に、呆れたように目を半眼にさせたヒスイは少々言葉尻を尖らせる。

「……も少し早ぅ助言してくれへんかぇ?」

「答えだけあげてもダメでしょう?」

飄々とそう言ってまた怠けた少年に今度こそ明確な溜め息を返し、ヒスイは眼前で即座に陣形を組み替える少女達に向けて細かな追加の指示を与える。

年末だから欠員がほとんどなフェンリル隊の面々をかき集め、お遊び的に臨時編成した攻略隊であるが、古参連中が多いからか、新人組を補ってまぁまぁ機能していた。首領と副長の指示を組み込み、大勢を逆転させていくケットシー達を眺めつつ、狐耳の麗人は改めてしなびた上司を見上げる。

彼女は端的にこう言った。

「そんなに家から出たくなかったんか、引きこもりめ」

「ん〜〜〜」

べっつに〜、という間延びした返事からして、もう肯定しているようなものなのだが、とヒスイは肩をすくめる。

この前、GGOに行っている間に起こった、影妖精(スプリガン)領主による動乱事件については彼に話していない。

終わった事件で煩わせたくない……、というのは完全な建て前なのだろう。だが、あれほど大きな事件であったのに対し、いまだにこの少年が言及してこないのは、ひとえに他の誰も喋っていないということ。

集団心理と言えばそれまでだが、一応事件に参加した新人組にまで、その認識は通っているらしい。

「それにさぁ、お遊びならわざわざアインクラッドに来なくても、もうちょっと近場で適
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