第15話 調理場こそ我が戦場
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て、士郎の料理を食べた事がある燕は、恐る恐る貰ったおかずを口に運ぶ。
当時の士郎の腕は、既に神域(大げさ)なのではないかと疑いたくなるほどのモノだッた。
それほどの領域ならば今はどれだけのモノなのか、燕は勇気を出して口に入れてから噛み砕く。
その瞬間、
(これは!繊細な素材の味を生かしきった濃厚な香りと旨さが口の中を蹂躙する!士郎、貴方はまさか此処までのモノを作り上げられるほど腕を上げていたなんて・・・!?)
燕は今日まで、士郎を目標に料理の腕を磨いて来た。
だがしかし、これは、この腕は。この技巧は!この旨さはッ!!
(追いつくどころか、むしろ突き放された・・・・・・)
今日味わってきたどのイベントよりもショックを受ける燕。
「如何した燕?」
「何かあったで候?」
「――――ごめん。今は話しかけないで・・・」
今までの自分の料理の常識を否定された様な味に、深くショックを受けた燕だった。
−Interlude−
そんな燕にショックを与えた張本人たる士郎は、学園長である鉄心に特別な許可を取り、昼休みの間に家に戻っていた。
理由は勿論、明日の為のケーキ作りについてだ。
だが、正直言って無茶である。
マンモス校と言われている川神学園の全校生徒に教職員全員分が食べられるケーキを作ると言うのだから。しかも納期が明日の夕方だというのだから、無茶を通り越して無謀と言わざる負えないだろう。
しかしそれを可能とする料理人が士郎である。
一切無駄なく洗練された動きに人外の如き手早さ、そして繊細さも忘れない。
これなら確かに間に合わせることが出来るかもしれない。
そう期待させてくれる士郎は言う。
「俺に膝を折れさせたければ納期を今の三分の一に変えるか、量を三倍にしてもってこいッ!!」
ただし誰も居らず、完全な独り言である。
ただそれを居間から覗き見ていたスカサハが、
「アイツはたまにナルシストになる時があるな」
用意されていた昼食を口にしながら、そう呟くのだった。
−Interlude−
ショックから立ち直った燕は現在、水泳場にて大和と会話を弾ませていた。
「そっかー、大和君はモモちゃんの舎弟なんだ〜」
「はい。もう5年以上はそんな関係です」
燕が大和と会話を弾ませているのは勿論興味心や好奇心では無い。
打倒川神百代に向けての情報収集の過程にて、周囲の人間関係をざっと洗った結果、結構親しい人物として調べがついているからである。
そして大和はいざという時の保険とも考えている。
武神を倒す時用の秘策の保険である。
その為だけに、内心を悟られぬ様に親しくなる切っ掛け作
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