第六十八話 華陀、益州に戻るのことその四
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「今度は何処だ?」
「あらダーリンいいところに来たわね」
「丁度いいわ」
「何だ、俺も行くのか」
「ええ、そうなの」
「少しいいかしら」
「ああ、いいぞ」
華陀は微笑んで二人に答えた。
「何かはわからないけれどな」
「わからないが行くのか」
「相変わらず大物だな」
ギースもクラウザーも彼の器は認めるしかなかった。
「しかしだ。では我々は」
「暫くはここに留まることになるか」
「ああ、済まないな」
華陀はその彼等に対して答えた。
「度々こうなるがな」
「全てはね」
「この世界の為だから」
怪物達も言う。
「少しだけね」
「待っていてね」
「ふむ。何かはわからないがな」
「いいだろう」
ギースとクラウザーはそれでいいとしたのだった。
「少し。その辺りのゴロツキ達と賭けでもしてだ」
「金を巻き上げるとしよう」
「いかさまをしたり難癖をつければだ」
どうするか。幻十郎が話すのはそのことだった。
「斬るだけだ」
「あら、物騒ね」
「簡単に殺したら駄目よ」
一応は止める怪物達だった。
「あくまで穏健にね」
「優しくよ」
「ふん、向こうが斬りつけてくればだ」
どうなるか。幻十郎は悪びれずに話す。
「斬られても文句は言えまい」
「俺もそうする」
そしてそれは刀馬もだった。彼も言うのだった。
「容赦なくな」
「少なくとも半殺し程度はさせてもらう」
ミスタービッグも伊達にそうした世界で生きている訳ではない。こう言うのだった。
「そうした奴はな」
「まあ人は殺さないでくれよ」
華陀が言うのはこれ位だった。
「手の切断位は俺が治せるからな」
「それはか」
「できるのだな」
「ああ、できる」
自信を持っての返事だった。
「流石に首は無理だがな」
「そんなの糊着ければくっつくから」
「全然平気よ」
どうやら怪物達の世界ではそうらしい。平然として言っている。
「そんなの。首が切れてもね」
「全然平気よ」
「平気だとは思えないがな」
流石にこれにはミスタービッグも引く。
「それは確実に死ぬだろう」
「いや、大丈夫だ」
しかし華陀はまだ言う。
「俺の医術は。それ位じゃまだ助けられる」
「ある意味において仙術だな」
「それに近いようだな」
ギースとクラウザーは華陀の術をそれだと述べた。
「そしてその術でか」
「人を助けるか」
「ああ、それが俺の役目だ」
そしてだ。こうも言うのだった。
「この世も。そうして救う」
「だから今もか」
「こうしてここにいるか」
「ああ、そうだ」
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