第一部 GI歴末からLP歴の終わりまで
第一章(CP4二周目、結末Bエンド)
第02話 自由都市アイスのキースギルド
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思って扉を開けてみると、血まみれの男が倒れていた――」
大怪我を負った男は、姉の弟子だった冒険者だ。
その手に片刃の曲刀を握っており、意識を失ってもけして手放さなかった。
ヒーラーの治療を受け、意識を取り戻した男にキースは尋ねた。
「もちろん何があったのかと聞いた。
ただ、お前さんの姉がモンスターに殺されたとだけ答えた。
詳しい話が聞きたかったのは俺も同じだ。
だけど、そいつは頑なに口を開こうとしない。
仲間が酷い死に方をした冒険者にはよくある事だ。
だから落ち着くのを待とうと思った」
「その冒険者の名前は?」
「ランスだ」
「彼は今どこに? 会えますか?」
「一応はウチのギルドに所属してはいるが、居場所が分からん」
話を聞くと、姉の死後に一度はギルドを抜けたらしい。
いくつかのギルドに入るが、そこらで問題起こして出入り禁止になったらしい。
そこでキースギルドに戻ってきたが、彼の前では姉の話はタブーだ。
酒場でタブーにふれた同業者が、その場で斬られたこともあるらしい。
どうやら亡くなった姉以外に、手綱を握れる者がいない傍若無人の暴れ者らしい。
「いったい、どこで女あさりをやってるんだか」
とにかく女の子が大好きで、見境なしに手を出すらしい。
先月もある組織のボスの女に手を出して、命の危機にさらされるが撃退したそうだ。
トラブルメーカーで定宿もコロコロ変えるし、宿を変えても連絡さえよこさない。
仕事を受けるペースも気侭で、選り好みも酷い。
だけど下手に他の冒険者よりも能力があるからタチが悪い。
「あいつにも何かあったときは、ランスの事を頼むと言われてたからな」
「そうですか」
「ま、宿も紹介するし、金はウチが支払うから一週間ほど、この街に泊まってけ」
「いいんですか?」
「ああ、あいつには世話になったからな。まだまだ話したいこともある」
「その間にランスさんが顔を出せば良いんですけど……」
それからは毎日キースギルドに顔を出した。
だけどランスという冒険者と会うことは出来なかった。
それでも同業者、道具屋、武器屋、様々な人に冒険者だった姉のことを聞けた。
姉の死因は気になったが、冒険者たちは死に際なんてろくなもんじゃないと言った。
喰われたり、犯されたり、胸糞が悪くなるような話が、そこらに転がっている。
だからだろう喋りたくない人間の気持ちも分かるそうだ。
モンスターに殺されたというのは間違いないらしい。
事件などに巻き込まれ卑劣な人間に殺されたわけじゃない。
ある冒険者には、もし敵討ちなんか考えてるなら止めとけとも言われた
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