第一部 GI歴末からLP歴の終わりまで
第一章(CP4二周目、結末Bエンド)
第02話 自由都市アイスのキースギルド
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金趣味を感じる看板のかかったキースギルドの扉を開ける。
建物の中身も僕が勝手にイメージしていた薄汚い冒険者ギルドとは違っていた。
その目の前の大きな机に、薄い口髭を生やしたスキンヘッドのオッサンがいた。
オッサンはまるで幽霊でも見たかのように驚いた目で黙って僕を見つめる。
僕も咄嗟のことで言葉が出ない。互いに固まったまま沈黙が続く。
「あら? キースギルドへようこそ」
そこに赤髪の眼鏡をかけた女性が隣の部屋からやってきた。
「あ、すいません。ヘルマンの村から来ましたビュートン・エンドです。
以前キースギルドに所属していた冒険者の姉について知りたくて訪ねて来ました」
「あ、ああ、なるほどな。あいつの妹か、化けて出て来たのかと思ったぜ。
俺がギルドのボス、キース・ゴールドだ」
「……妹ではありません。弟です」
「すまん。なんせ、あいつが初めてギルドに来たときと瓜二つでな」
「いつも弟みたいな可愛い妹がいるんだって自慢してましたね」
「ハイニ、そりゃ妹みたいな可愛い弟の間違いだ」
「なんだか俺も混乱してきた」 後ろにいたマハがボソッと呟く。
「そっちのガキは連れか? 二人で姉みたいに冒険者にでもなるのか?」
「いえ、姉のことを詳しく聞きたいだけです」
「……そうか。ま、今は暇だ。そっちのソファにかけろ」
「あ、お茶とお菓子出しますね」
「そうだな。長話になるだろうから頼む」
キースさんは話して見れば、見た目はアレだが面倒見の良いオッサンだった。
秘書のハイニさんを交えて、姉の思い出話、冒険譚、武勇伝に盛り上がる。
しかし楽しい話だけを、聞きにきたわけじゃなかった。
「その片刃の曲刀は、あいつが使っていたやつか?」
「はい。形見として受け取りました」
「それは古きを狩る刃を持った冒険者なら垂涎のレアドロップだ。大事にしろ」
「そんなに凄い武器だったんだ……」
マハが驚きの声を漏らす。
僕は古ぼけた鞘から曲刀を抜き、その片刃を確める。
たしかに鋼鉄とは材質が違う。よく見れば紋様が薄っすらと刻んである。
「ああ、狙われて盗まれたれないよう、あえて古ぼけた鞘に納めてるのさ」
「遺産はギルドに預けてた金銭やアイテムだけ。唯一残った愛用の遺品だな」
「姉は冒険の途中にモンスターに殺されたと聞きました。
死体は回収できなかったと……。誰がこの曲刀を?」
「ああ、それは――」
キースさんは語り始める。
「その日は雨が降っていた。夕暮れ時だった。
ギルドの扉に何かがぶつかってきて大きな音が響いた。
何事かと
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