第六十八話 華陀、益州に戻るのことその三
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「俺は俺の斬りたい奴を斬る」
「果たして本心からそうなのか」
その彼にだ。ミスタービッグが言ったのだった。
「貴様等はな」
「何が言いたい」
「俺達の本心は違うというのか」
「斬ればそれで終わりだ」
ミスタービッグが言うのはこのことだった。
「しかしだ。その相手が永遠にいればだ」
「どうだというのだ」
「それで」
「その相手と戦える悦びがあるな」
「俺はただ斬るだけだ」
「俺もだ」
二人はこう返してミスタービッグの言葉を否定する。
「それで何故だ」
「そうしたことを言う」
「私の間違いだというのだな」
「そうだ。俺はあの男を斬りたいだけだ」
「剣はその為だけにあるものだ」
「かもな。だが本心はどうかだ」
まだ言うミスタービッグだった。
「それが問題だが」
「安心しろ、俺はだ」
「俺もだ」
また言う二人だった。
「嘘はつかない」
「決してな」
「そう言うのだな」
「何度も言わせるか」
「くどいと思わぬか」
「そうだな。ではこれで止めておこう」
ミスタービッグもだ。ここで言葉を止めた。
そのうえでだ。彼はその場を去った。そしてだ。
幻十郎のところにだ。泳ぎ終えた貂蝉が来た。そのうえでだ。
彼に対してだ。こう尋ねたのだった。
「ねえ、今だけれど」
「都のことか」
「そうよ。何があったの?」
問うのはこのことだった。
「よかったら教えてくれないかしら」
「だからだ。怪しい動きがあった」
こう彼にも話す幻十郎だった。
「これまで権力を握っていた大将軍が処刑されてだ」
「そして宦官達がなのね」
「あの連中ではに」
「違うの?」
「董卓という娘が権力の座に就いた」
そうなったとだ。貂蝉にも話すのだった。
「そうなった」
「そう。それじゃあ」
「それでは?何だ」
「やっぱり動いたのね」
ここでだ。貂蝉の目が光った。
そのうえでだ。彼はこんなことを言った。
「時が来たわね」
「時だと?」
「そうよ。時よ」
こう言うのである。
「その時がね」
「どういうことだ、それは」
「そうだ、それはだ」
刀馬も貂蝉に対して問うた。
「どういうことなのだ」
「わかるわ。ただ」
「ただ?」
「今度は何だ」
「少し用ができたわ」
こんなことを言う貂蝉だった。
「少し。皆とはお別れね」
「そうね」
貂蝉だけでなく卑弥呼も言う。
「行かなきゃいけないところができたわ」
「これからね」
「何だ?何処かに行くのか?」
華陀も二人のところに来た。そのうえで問うのだった。
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