第五章
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「どうかしら」
「それでいいです」
充分だという返事だった。
「実は肴については」
「何でもいいの」
「はい」
だからだというのだ。
「今から飲ませてもらいます」
「じゃあテーブルでね」
「そこで」
飲むとだ、三樹夫は義母に答えてだった。
早速冷蔵庫から梅干しを出した、酒はあやめが出した。そうしてだった。
三樹夫は自分からコップに酒を入れてどんどん飲みだした、梅干しは肴としてかなりの量があったので問題なかった。そうして彼が飲んでいる時にだ。
あやめと蒔絵、ちるが来てだ。一升瓶を片手に持って飲み続けている三樹夫に言ってきた。
「あの、私達もね」
「一緒に飲んでいい?」
「そうしていい?」
「あれっ、二人は」
三樹夫は普段とは全く違う口調で姉妹に言った。実に明るく砕けた口調だった。
「まだ未成年じゃ」
「特別にね、私がいいって言ったから」
あやめがこのことを話した。
「それでなの」
「だからですか」
「ええ、駄目かしら」
「いいですよ」
実にあっさりとした返事だった。
「ただ聞いただけで」
「そうなの」
「俺も十五から飲んでますし」
「えっ、十五からって」
「中学生の頃から?」
蒔絵とちるは義兄のその告白に驚いて応えた、二人共まだビールの缶を持ったばかりだ。
「お義兄ちゃん飲んでるの」
「そうだったんですか」
「親父に進められてなんだよ」
三樹夫は真っ赤になっている顔で義理の妹達に話した。
「それでなんだよ」
「中学生からですか」
「飲みはじめたんですか」
「そうなんだよ、高校の合格祝いに」
その時にというのだ。
「この酒飲ませてもらって美味くてな」
「それからですか」
「ずっと飲んでるの」
「日本酒も飲んで焼酎も飲んで」
その好きな酒の話もするのだった。
「ワインも飲むしな、それでも一番はな」
「そのお酒ですか」
「狸の店長さんが売っている」
「この酒だよ、いや美味しくてな」
そう言いつつだ、三樹夫はあやめのウイスキーを彼女のロックのグラスに入れて妹達に肴の柿ピーあやめが出したそれをそっと前に差し出した。
「止まらない位飲むな」
「そうですか」
「止まらないの」
「三升いけるな」
「えっ、三升って」
あやめは三樹夫が入れてくれたウイスキーを飲みつつ驚いて言った。
「それだけ飲むの」
「はい、普通に」
「普通に三升なの」
「飲めますよ、特に」
さらに飲みつつ言う三樹夫だった。
「このお酒は」
「そうなの」
「ここのお酒は特に美味しいですからね」
だからだというのだ。
「どんどん飲めます」
「そうなのね」
「いや、どんどん飲めて」
実際に空けた傍から自分で入れて飲み続けている三樹夫だった。
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