第36話 ルーアンでの一日
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うするの?孤児院に戻るの?」
「ん。わたしはクローゼを送ってから孤児院に戻るよ。本当は用事があったんだけどわたしも疲れちゃったしね」
「用事?よかったらあたしたちも手伝おっか?」
「ん、大丈夫。まあ危ないことじゃないから気にしないで」
うーん、何だか気になるけどこれ以上の詮索は野暮ってもんよね。あたしたちはクローゼとフィルと別れて最上階の部屋に向かった。
side:フィー
エステルとヨシュアと別れた後わたしはクローゼを学園まで送っていた。
「ごめんなさい、フィルさんにお手数をかけてしまって……」
「私が好きでやってる事だから気にしないで」
クローゼには色々お世話になってるからね。このくらいは当然の事だと思う。
「フィルさん、何だか楽しそうでした」
「?……急にどうしたの?」
「いえ、フィルさんと出会ってからフィルさんは何か焦っているように……余裕がないように思ってたんです。でも今日のフィルさんはとても楽しそうでした」
「……まあ、楽しかったかな」
リィンの事が心配でちょっと焦り過ぎていたかもしれない。リィンの事は勿論心配だけどそれでクローゼに心配をかけていたら意味ないよね。その後はあまり会話することなく先に進んでいく。学園の校門前に来るとクローゼは門の前でこっちに振り返った。
「どうしたの、クローゼ?」
「私はまだフィルさんと出会って間もないです。あなたの事は何も知らないし非力な私では頼りないかもしれません」
「……」
「でも私はフィルさんを友人だと思っています。もし何か困ったことがあったらいつでも行ってください。できる限り力になりますから……」
「……ありがとう、クローゼ」
クローゼは多分わたしがコソコソと何かしていることに感づいていると思う、でもわたしを気遣って何も聞こうとはしない。そんなクローゼの優しさが有り難かった。
「じゃあね、クローゼ……」
「はい、また明日お会いしましょう」
わたしは去っていくクローゼを見送ってから孤児院に戻った。
「あ、お姉ちゃん。お帰りなさい」
「あー!フィルお姉ちゃんだー!お帰りなさい!」
「お帰りー」
「遅かったな、フィル」
「ただいま、ポーリィ、クラム、マリィ、ダニエル」
わたしは孤児院の前で遊んでいたマリィとクラムとダニエルとポーリィに挨拶をして駆け寄ってきたポーリィをギュッと抱きしめた。
「今日はねー、テレサ先生がカレーを作ってるんだよ」
「そっか。じゃあ私たちも手伝わないとね。ほら、クラムも行くよ」
「ちょ、何でおれだけ引っ張るんだよ!」
「まあ偶にはテレサ先生に貢献しなさいよね」
「カレー、楽しみだね♪」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ