序章
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頭の中に声が響いてくる、そう感じているだけではなく明らかな実感として聴覚ではなく脳に直接語り掛けてくるかのような声が聞こえてきている。
「暁の血を引く大地よ、目覚めなさい―――貴方に大切な話があります」
その時の彼にはその声の正体を知る術は無かった、それを知ったのは彼がその手で子供を作る為の儀式にて相手から伝えられた時であった。天界の最高神である大照天夕子であると知った時、思わず呆然としその隙に初めて唇を奪われたという事をされて顔を真っ赤にした時だった。
「朱点童子は貴方の一族の復讐を恐れ、その血に忌まわしい二つの呪いを掛けました。一つは短命の呪い、貴方は常人の数倍の速度で成長し死ぬでしょう。もう一つは種絶の呪い、貴方は人と交わり子孫を残す事が出来ません」
赤子と呼ばれ親に世話される筈の状態であるべきなのに既に彼の身体は成長を遂げていた。既に子供とは言えないほどの身体を持ち確りと自分の足で立ち言葉を話せていた、既に元服と言える見た目とまで強制的に成長してしまっていた。そしてもう一つの呪いによって子供を残す事すら出来ない、ただあっという間にやって来る死を待つしかないという絶望的な状況であった。
「―――暁の血を引く大地よ!絶望をしている暇などありません。貴方達も私たちも取れる道は唯一つ、貴方の子を残しなさい!」
先ほど言っていた種絶の呪いによって自分は子を成せない、筈だったがそれは人間との間の話であった。何も分からず身体は大人へとなったしまった暁の血を引く大地はその時に理解してしまった、自らに掛けられた呪いを解く為にこの忌まわしい呪いを次の世代へと引き継がせ、苦しめて、自分よりも遥かに辛い経験を積ませていくしか選択肢を取るしか出来ないという事を……。
1018年 4月。
「何故です、何故私が家で待機なのですか!!!?」
「当主としての命令だよ、君は新しい術の習得に専念しろ」
京の一角、暁一族の屋敷の居間にて怒鳴り声が響き渡った。2ヶ月前に暁家当主大地は神と交わり子供を残す交神の儀を執り行い自分の子供である女の子が遂に家にやって来た。交神の儀を執り行うまでは家では一族の助けをする為に使わせれたイツ花と二人きり、正直な話寂しさもあったからか子供が来るのは嬉しさもあった。そしてやって来た子供が生後2ヶ月程が経過している程であるのに矢張り自分と同じく短命の呪い故か額には自分と同じ緑の玉があるがそれ以上に美人で自分と子供かと疑ってしまった。イツ花が隣でご家族が増えますね!と明るい声で語りかけてくる中、3日ほど頭を悩ませて考えた名前『桜』という名前を授かってくれた娘は不機嫌そうに口を開いた。
―――ハッキリ言っておきますお父様、私は貴方の事が嫌いです。
ストレートにそう言われてしまっ
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