全ては私の掌の上だ
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時の私の言葉は嘘ではないというのかい?」
「あ…あぁ…あぁ……」
今度こそ桐原静矢の精神は崩壊した。
「無理も無い事だ。同情しよう」
「この世界には最初から真実も嘘も無い。あるのはただ厳然たる事実のみ。にも関わらずこの世界に存在する全ての者は自らに都合の良い"事実"だけを"真実"として誤認することで生きている。そうするより他に生きる術を持ち得ないからだ」
「─だが、世界の大半を占める力無き者にとって自らを肯定するに不都合な"事実"こそが悉く真実なのだ」
「君は事実の全てを知っているのかい?前理事長とその関係者を軒並み粛清し、この学園から追放したのは誰なのか。君たちが黒鉄一輝だと思い込んでいた人物が誰であったのかを。そして、本当に私が前理事長の手駒に過ぎなかったのか」
今此処で全ての点が線へと繋がり、全ての謎が公の場で明らかになった。
「──そう、成長には壁が必要だ。常に自身の実力を遺憾なく発揮することができる相手が」
実力が離れすぎていても、格下過ぎてもいけない。
黒鉄一輝の成長には実力が拮抗した相手が必要であった。
そう、桐原静矢。君のような相手がね。
言外に藍染が述べているように桐原には聞こえた。
「……一つ訊きたい」
顔を地に伏しながら桐原は弱々しく声を発する。
「お前はさっき言ったよな。……僕が黒鉄一輝の成長の最高の素材になると確信していたと。何でだ……?何を根拠にそう確信したんだ?」
「この一連の出来事が全てお前の掌の上だったのなら言ってみろ……一体いつそう確信したんだ……!?」
「最初からだ」
背を向け、藍染は淡々とした様子で応える。
「適当なことを言っているんじゃ……」
煮えくり返るような表情を浮かべる桐原
「解らないか?最初からだと言っているんだ」
だが、真実とはどこまでも残酷で、桐原にとって救いようのないものだった。
愛染はその誰も映していない真っ黒な瞳で振り向きざまに此方を射抜く。
「私は彼が生まれた時から彼のことを知っている」
「…な…に…!?」
藍染はそんな桐原に動じることなく──
「彼は生まれた瞬間から特別な存在だった」
──余りにも残酷な一言を放った。
「─。」
自分は黒鉄一輝の踏み台に過ぎなかったのだと
藍染にとって自分は眼中にもなかったのだと
いやー、実に黒鉄くんは弄びがいがあるね。本当に良いおもちゃだよ。君もそう思うだろ、藍染?
……
今日も何度僕の矢の餌食になったと思う?本当にFランクだというのに無駄な努力をしちゃって
──そうだね。やはり君は|私の思った通りの男だ《・・・・・
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