第83話 無邪気な子供は時々残酷な事を楽しむ事もある その3
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、なのはが呻くように声を発したのだ。それと同時に、彼女の目が銀時に向けられる。
「なのは・・・お前―――」
彼女は何も言わなかった。ただ、出来る限り銀時に向って笑みを浮かべて見せた。
その笑みが銀時の中で迷っていた答えを導き出す切欠となった。
銀時は、意を決して手を掴んだ。
”シュテルの手を掴み、彼女を闇から引きずり出した”
「!!! お父様・・・何故!?」
「あいつが言ってたんだよ。お前を助けろってな」
「ですが、それでは!!」
助け出されたシュテルは見た。自分が助け出された代償に、なのはは深い闇の底へと沈んでいく光景が。
しかし、どうする事も出来なかった。
なのはが闇の底へと沈んでいくと同時に、二人の意識は外へと押し出されて行っているからだ。
「あいつは・・・自分よりもお前を助けたかったんだよ」
「私は・・・私は人ならざる存在に過ぎません。なのは様を模した只の木偶人形の様な物。それなのに、何故―――」
「少なくとも、あいつはそう思っちゃいねぇよ。あいつにとっちゃ、お前は【家族】だからな」
「家族・・・」
銀時の言葉にシュテルは胸を打たれる思いになった。
あくまで消耗品であり続けようとした自分を、なのはは家族だと思ってくれた。
思えば、なのはと共に戦った時もそうだった。彼女は自分の事を物のようには見ていなかった。
まるで親しい人と過ごしていたかのような笑みを浮かべていた。
「シュテル、なのはの奴がお前を助けた事を悔やむような事はするな。そんな事したらあいつの行いが無駄になっちまう」
「ならば、私はどうすれば・・・一体どうすれば良いのですか?」
「それをこれから学んでいけ。お前はあいつよりも頭が良いんだ。あいつの体を使って、外の世界を見てそれで学べ。こればっかりは親父である俺の口からは言えねぇ事だ」
「・・・・・・」
「それとな、今後はお前はなのはの”フリ”をしろ。流石にいきなりお前の存在を連中に言っても面倒なだけだし、俺も説明とかたるいんでしたくない」
「なのは様の・・・フリ・・・ですか? 私に出来るでしょうか」
何時になく不安になってるシュテル。そんなシュテルの頭に銀時は手を置いた。
「そんな堅苦しい呼び方は止せ。お前は家族なんだ。だったら、あいつの妹みたいなもんだろ? 素直にお姉ちゃんとでも呼んでやれ」
「お姉・・・ちゃん・・・」
「おうそうだ。ま、その内あいつも迎えに行かなきゃなんねぇからな。それまではお前がなのはだ。良いな」
「はい、善処します!」
「うん、凄く不安になったけど・・・まぁ良いや」
内心返って面倒な事をしてしまったのではないかと不安がる銀時ではあったが、今更取りやめる事など出来る筈もない。その
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