第83話 無邪気な子供は時々残酷な事を楽しむ事もある その3
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てる暇はねぇ。とにかくやれるんならやれ! ヅラもだ」
「ヅラじゃない。桂だ!」
良くは分からないがとりあえず三人は了解した。目の前で凄まじい勢いで振り回されている右腕。それを新八、神楽、ヅラの三人で抑え込み、その間に銀時が接触する考えだ。
「力勝負なら任せるネェ!」
パワー勝負を神楽は買って出た。相手がなのはだと言う事もあり、姉貴分としての意地が出たのか、はたまた別の意図があるのかは不明だが、とにかく神楽が先頭に立ち、暴れ回す丸太の様な変異した右腕を抑えつける事が出来た。
その後に続き、新八が、そしてヅラがそれぞれ腕を抱え込んで抑え込む。
「うぐおぉぉぉ! 何この馬鹿力!? 神楽ちゃん並、嫌それ以上に感じられるぅぅっぅう!」
「弱音を吐いてはならんぞ新八君! 我らは共に攘夷の炎を燃え上がらせる為に集った仲ではないか!」
「誰もあんたの目的の為に集った覚えはないわぁ!」
「ぐだぐだ言ってねぇでしっかり押さえろゴラァ! あ、やべっ・・・無理し過ぎたせいかりバースしそうアル」
三人で抑え込んでも手に余る程の怪力。正直動いてるのが片腕だけで助かったと思える。
もしこれが自由に動き回っていたらと思うとゾッとする。
「そのまま暫く抑え込んでてくれよ」
小声でつぶやき、銀時はなのはの傍に歩み寄った。
既に顔の半分が異形の顔へと変貌し、鋭い牙やおぞましい眼光を放つ異形の顔へと変わり始めている。
残った半分の顔が銀時を見上げた。何処か苦しそうで、そして寂しそうで悲しそうな顔をしている。
「お前だって化け物になるのは御免だよな。もう少し待ってろ。今何とかしてやっからよ」
言い聞かせるようにそう言って、銀時はなのはの頭に手を乗せた。
「触れたぞシュテル。それで、この後はどうすれば良い?」
脳内のシュテルを呼び出すように銀時は呟く。しかし、返答はない。
一体どうしたのかと悩んだその刹那、突然銀時の意識が吸い込まれる感覚に見舞われた。
声を出す暇すらない。瞬く間に銀時の意識は深い闇の彼方へと吸い込まれてしまった。
***
目が明いてるのか閉じてるのかさっぱり分からない。
何しろ、目の前が絶えず真っ暗なのだから―――
「おいおい、一体どうなってんだよこりゃぁ―――」
突然自分が置かれた状況を前にして、銀時はぶっきらぼうな呟きしか出来なかった。
周りを見渡せば闇しかなく、しかも地に足がついていない絶えず浮遊状態と言う摩訶不思議な状態だった。
「ったく、こんな状況で俺にどうしろってんだよ? 懐中電灯とか持ってなかったけか?」
仮にあったとしてもこんな深い闇の中では恐らく意味をなさないと言う事
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