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駄目親父としっかり娘の珍道中
第83話 無邪気な子供は時々残酷な事を楽しむ事もある その3
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私も―――」
「お前は此処に居ろ」

 話に加わろうとする鉄子を銀時が制した。

「何故だ? そもそも、私達兄妹が招いた事なんだ。私にだって責任がある」
「かもな。だが、お前の出来る事は此処にはない。それより、お前にはやんなきゃならねぇ事があるだろう」
「私にやる事?」

 鉄子の前に、銀時はそっと白夜を見せた。

「お前のやる事は、こいつを鍛え上げる事だ。今のこいつはなまくら同然。この状態じゃ、桜月を破壊する事なんざ出来やしねぇ。多分、次に俺が戻ってきた時にゃこいつはブチ折れてるか刃こぼれしまくって使い物にならない状態になってるかもな。だから、そうなったらこれを直して鍛えてくれ。桜月に勝てる位にな」
「・・・・・・分かった。その役目、私が引き受ける。だから、必ず戻ってきてくれ!」
「心配すんな。仮にもジャンプ主人公がこんな中途半端な場面で死ぬ筈ねぇからよ」
「メタいですよ銀さん」

 毎度おなじみ新八のツッコミを背中に受けつつ、銀時は周囲を見渡した。
 急がなければならない。どれだけの時間眠っていたかは分からないが、余り猶予がないのは把握している。
 なのはの意識がなくなり、別の意識が芽生え始め、やがては肉体すら変貌させ、全く異質の化け物になってからでは手遅れになる。そうなる前に何としても暴走を止めねばならない。

「銀ちゃん、あそこに!」

 神楽の指さす方。それは高杉一派の乗っていた偽装船の甲板上だった。
 其処には確かになのはの姿があった。
 さっきまで黒い色のバリアジャケットが今は白い色へと変化しており、その衣服もまた敵の返り血などで赤く染まっていた。
 そして、その周囲には無残にも惨殺された管理局局員達の亡骸が転がっている。
 どれも惨たらしい殺され方をしている。あれをなのはがやったのかとは正直思いたくはない。

「あの光景は、流石にきついな。俺もお前も、骸を見るには慣れたものだが、あんな惨い骸となると―――」
「ビビったか? ヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ! ビビッてなどいない。ましてや、攘夷を成そうとしているこの俺が臆する事などないのだ!」
「上等、そんじゃしっかりついてこいよ! てめぇらもだ」

 その声を合図に、四人は甲板を飛び移った。
 既に偽装船の航行能力は粗方失われてしまっている。艦内に船員がいるかどうかも怪しい。だが、今はそんな事などどうでも良い事だ。
 今、自分達がすべき事は目の前にあるのだから。

「ん? 何、あんた達」

 気配を感じ、視線をこちらに向けて来たなのはの表情を見て、明らかに意思がない事が分かった。
 瞳はどんよりと濁っており、まるで生気が感じられない。無表情と言えば良いだろうか。
 とにかく薄気味悪い表情をこちらに向けて来ていた。

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