第83話 無邪気な子供は時々残酷な事を楽しむ事もある その3
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局の航行船が火を噴いて破壊されている光景だった。
既に粗方の艦が沈められており、残っているのと言えば既に戦闘能力を失いまともに航行も出来ないズタボロのが数隻残っている程度でしかなかった。
「え? なにあれ・・・一体何があったの? まさか、ヅラがやったのか?」
「嫌、俺達ではない。非常に言いにくいのだが・・・」
言葉の途中で桂が口ごもった。嫌な予感がしてきた。
桂がこう言う表情をする時は決まって碌な事がないのは長い付き合いで分かっている事だ。それだけに余り聞きたくはないが、今は聞くしかない。
「銀時、上のあの惨劇を引き起こした張本人は・・・お前の娘だ」
「・・・マジかよ!?」
嫌な予感はしていたが、予想よりも遥かにやばい事を知り、愕然とした。
つまり、あれだけの惨劇をなのはが一人で行っていると言う事になる。
しかも、この江戸の地でだ。
本来、魔法を用いる魔導士達はこの江戸の地では空を飛ぶ事が出来ない。
原因は未だに分からないのだが、永続的に飛行魔法が使用不可状態にあるらしい。また、戦闘能力も劇的に低下してしまう。
それは、かつて自分達が海鳴市に辿り着いた際に感じたのと全く同じ現象だった。
だが、その類がなのはには何故か適用されない。それはあの惨劇を見れば分かる事だ。
戦闘力の低下した魔導士に戦艦を破壊出来る力などない。ましてや、それが艦隊ともなれば尚更な事だ。
「それで、今なのはは何処にいる?」
「分からん。だが、仲間たちから聞いた話によると・・・彼女はまるで殺戮を楽しむような表情をしていたと言っていた」
「・・・・・・」
返答は沈黙で返した。
あのなのはが殺戮を楽しむような真似をする筈がない。となれば、導き出される答えは見えて来る。
なのはの中に埋まっていたジュエルシードの暴走。それによりなのはの意思が呑み込まれてしまい、ただただ殺戮を繰り返すだけの獣へと変えてしまった事。それが一番有力的な答えだった。
そして、その後に待っているのは、ロストロギアへの変貌。
以前、時の庭園でプレシアがジュエルシードを用いて変貌した時の光景が思い起こされる。
だが、あの時はなのはが一時的に魔導士として覚醒したお陰で難を逃れた。
しかし、今回はそのなのはがロストロギアへと変貌を遂げようとしている。仮にそうなったとして、誰が止められるか?
それを考えた時、答えは全く浮かび上がってこなかった。
「ヅラ、此処からづらかる前にしなきゃならねぇ事がある」
「ヅラじゃない桂だ。お前のやる事など百も承知だ」
銀時の言いたい事を察したのか、桂が言葉を遮って来た。
「正直、その原因には少なからず俺も関わっている。だから、俺も同行させて貰うぞ」
「待て、それなら
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