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駄目親父としっかり娘の珍道中
第83話 無邪気な子供は時々残酷な事を楽しむ事もある その3
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 銀時が現実世界に引き戻された時、辺りは騒々しい状況だった。
 周りに居る桂率いる攘夷志士達が慌ただしく甲板の上の右往左往している。
 その中央では仕切りにエリザベスがプラカードを掲げて指示を送っているのが見える。
 こんな状況なのだから声位出せよ! とツッコミを入れたくなるのだが、それは野暮な事なのでお控え願いたい。
 それで、自分の周囲に目をやると、其処には新八や神楽、それにヅラや鉄子と言った面々が安堵の表情を浮かべながらこちらを見下ろしていた。

「え? 何・・・今どう言う状況なのこれ?」
「目覚めたか銀時。今は急を急ぐ状況だ。我らは早急にこの場を離れねばならない!」
「あぁ、何となく状況は把握してるつもりだ」

 よっこらせと身を起こしながら銀時は呟いた。実際、眠っている間に大体の事は紅夜叉から言伝されている。今更聞き直す気などない。
 面倒臭そうに頭を掻きむしった辺りで銀時は気づいた。
 今、自分が頭を掻いているのは桜月に切られた筈の方の手。
 だが、今確かに自分はその手で頭を掻いている。

「そう言えば、銀さん・・・その腕―――」
「あぁ・・・俺も立派にこの妖刀に呪われちまったみてぇだな」

 どうやらあの時のビジョンは嘘でも妄想でもなかったらしい。その証拠に肩からごっそり切られた筈の銀時の腕は衣服だけ切られた状態で元通りになっていた。
 まるで、何処かの緑色の肌をした宇宙人みたいな気分だった。

「ったく、俺はピ〇コロ大魔王かってんだよ」
「何ぶつくさ言ってるアルか銀ちゃん」
「何でもねぇよ」

 適当にあしらい、銀時は自分の身の回りを一度確認する。腰には確かにあの忌々しい白夜が収まっていた。
 まるで、自分を主と崇めているかの様に―――
 そんな風に見えた白夜が銀時にはこのうえなく憎たらしく見えた。

「ちっ、ふてぶてしい妖刀だぜ」
「すまない、銀時。私のせいでお前に呪いが掛かったようなものだ」
「良いさ、どの道、今はこいつの力が必要だ。クソ忌々しいが今はこいつに頼らせて貰う」

 刀身を抜き放ち、銀時は呟いた。抜き放たれた白夜の白銀の刃に銀時の顔が映し出される。
 その名に恥じぬ程美しい白金の刃。それを手にした者は一騎当千の強さを得られると言わしめた業物。
 だが、その代償として支払われるのは使い手の命―――
 これを手にした以上、銀時には今後幾多の苦難が降り注ぐ事になる。
 本人の意思を問わずにだ―――

「さてと、んじゃとっとととんずらするとしてぇんだけどよぉ。おい、家の屋台骨何処だ?」
「そ、それが―――」

 答えを渋るように、新八は恐る恐る上を指さした。それに従い上を見上げると、其処にはついさっきまで空を埋め尽くさんばかりに浮かんでいた筈の時空管理
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