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借りられる部屋ではない)場所にいたが、そこは彼女にとって複雑な思いのある場所だったために、落ち着かないどころの話ではなかっただろう。
しかし、勘違いをしないでもらいたい。俺は別に彼女に恋愛感情を持ったことは一度もない。
単なる同居人でしかないのだ。相手もそれを、承知しているはずだ。
「ご飯できてるから、どうぞ」
「ありがとう。あ、でも先にいつもの奴やってくるよ」
「それじゃあご飯が冷めちゃうよ?」
「む、そうか。じゃあ遠慮なく」
そういって俺は席について、彼女が作ってくれた晩御飯を食べ始める。彼女も俺よりは遅めの動きだが食事を食べていく。しばらく二人は無言だったが、俺が食べ終わったことでその沈黙は終わった。
「美味かったよ、ごちそうさま」
「あ、うん……ありがとう」
礼を言って寂しそうに微笑んだ彼女を置いて、食器を片付けると、俺は自室へと引っ込んだ。俺の日課だ。ストレージを呼び出して、分厚い本を取り出す。以前はもっと薄い本だったそれは、日記だった。俺がこの世界に来てから一日も欠かさずに付けている日記だ。最初はただの暇つぶしだった。
しかし、付けていくうちに、この世界での体験は恐ろしいものだと同時に二度と体験できないものなのだと理解してからは、真剣に日記をつけるようになった。
この手のアイテム(記録結晶で撮った写真なども)は、現実に戻ってからもナーヴギアから取り出せるらしい。だから、俺は日々を記録し続けている。いつか向こうに帰った時に、誰かに話せるように。
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