天使のような子のライブを見に行った
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込むだろうから、帰宅する人の列から外れ、通行の邪魔にならない所に移動する。
「ありがとう前原くん。神崎くんも楽しめた?」
「うん、すっごく楽しかったし、すっごく感動した。実は生ライブって初めてだから余計にね」
「そうなんだ。ふふ、楽しめたみたいで良かった!」
「いえいえ、A-RISEとμ'sのお陰だよ」
先刻のことを思い返す。A-RISEの圧倒的なパフォーマンスとμ'sの素晴らしいパフォーマンス。あの時の光景が、音が、空気が今にも脳裏に蘇りそうだ。
そして何より、南さんのライブで踊って歌う姿。それが頭から離れない。
「それで、ことりちゃんはどうしてここに?」
「あ、うん。特にこれと言った用事はないんだけどね? ただ、2人の感想が聞きたくて」
「なるほど。ちなみに今日は一緒に帰れたりする?」
「あー、ごめんね? この後μ'sのみんなで打ち上げに行く予定だから今日は帰れないんだ」
「あれま、残念だけどそれなら仕方ないね」
打ち上げ……か。俺としても南さんと帰りたかったけど、我儘は言えない。というか翔真、それだとナンパしてるみたいだぞ。ちょっと複雑な感情。
「そういうことなんだ。私もそろそろ戻るよ。帰る所引き止めちゃってごめんね?」
「いや、大丈夫だよ。南さんと話せて楽しかったし」
「……私も神崎くんと話せて楽しかったよ」
──嬉しい。素直にそう思える。分かってはいたけど俺、やっぱり南さんのことが好きなんだなぁ。
「……じゃ、じゃあね! また今度!」
「あっ──待って!」
「えっ……?」
逃げるようにその場を後にしようとした彼女を今度は俺が引き止める。どうしても、これだけは言っておきたいことがあった。
俺の中の勇気を総動員して。
「今日のライブ、最高だった。衣装も似合ってたし──可愛かったよ、南さん」
「……っ!?」
「ほう……」
ボンッと音が響きそうなほど一瞬にして顔が真っ赤になる南さんと、何かを察したように感心する翔真。俺が彼女を好きだってこと、コイツは分かってるんだろうな。
こんなことを言ったのは南さんが初めてだし、よく言葉が出てきたなと自分でも驚いている。今、俺の顔は南さんに匹敵するほど赤くなっているに違いない。
「あああ、ありがとう! えっと、あっと、その……とりあえず私はこれで! さよなら!」
「あ、南さん!」
聞く耳持たず。南さんは俺の声を振り切って奥へと走っていってしまった。うーん、やらかしてしまったかなぁ。
「そ、う、やくーん?」
「何だよ気持ち悪いなぶっ飛ばすぞ」
「う、うそうそ! 冗談だって!」
調子に乗っている翔真は置いといて
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