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天使のような子に恋をした
天使のような子のライブを見に行った
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イブをすることになったと」

「うん、そうなの」

 ちょっぴり困ったように微笑む南さん。

 まあ仕方の無いことだろう。あのA-RISEの根城であるUTXの屋上でライブをするんだ。緊張は勿論するだろうし、少しの不安も抱いているのかもしれない。

「まあ話は分かった。でもさ、男が女子高に入って大丈夫なの? チケットとかの問題もあるだろうし……」

「うん、大丈夫。明日は一般の人も入場出来るから男の人も入れるんだ。チケットは……はいっ!」


 カバンから2枚の紙切れを取り出し、俺に差し出した南さん。これはもしかして──

「ライブのチケットだよ。私がお願いしてツバサさんに貰ったの」

「……マジですか」

 チケットには“1500円”と書いてある。しかも2枚ということは翔真の分も考慮してあるのだろう。
 3000円というのはバイトをしてない学生にとっては少々痛い出費だ。そんなものをタダで貰ってもいいのだろうか。しかも南さんに頼ってまで。

「……いいの? 貰っちゃって」

「もちろん! その為にお話したんだから」

「でも流石にタダというのは……」

「ううん、気にしないで。ツバサさんも大丈夫って言ってたよ」

 流石お嬢様学校だ。彼女達にとって3000円なんて大した金額でもないんだろうな。羨ましい限りである。
 μ'sとA-RISEのライブが同時に見れる。これはどちらのファンでもある人からしたらたまらない。翔真だったら発狂するかもしれない。

「ありがとう南さん。明日、絶対に行くよ」

「ふふっ、ありがとう。待ってるね。ステージの上から探しちゃおうかな、なんて」

「あはは、たくさん人が来るだろうし見つけるの大変かもね」

「それもそうだね。でも、神崎くん背高いから、すぐに分かると思うな」

「うーん、どうだろうね」

 南さんとの他愛もない会話。くだらないことやちょっとしたことでも南さんは真剣に聞いてくれるからこちらとしてもとても楽しい。

 ──この時間が永遠に続けばいいのに。

 そう心から願うけど、現実は非情だ。すぐに南さんと別れることになり、至福の時間は長くは続かなかった。

「じゃあ明日、待ってるね」

「うん。南さんも頑張ってね。練習も、本番のライブも」

「ふふっ、ありがとう。それじゃあ私は行くね」

 いつもの場所で、彼女と別れる。今日も神田明神で練習をするのだろう。何せ明日が本番だ。力を入れるに違いない。

 俺は、南さんの姿が見えなくなるまで彼女の背中を見続けていた。



 ◆



 一つ、謝りたいことがある。

 俺は今まで、“生のライブ”というものに行ったことが無く、どんなものなのかよく分からな
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